日本船主協会

トップページ環境問題>環境インフォメーション

海運業界の取り組み 海運企業の取り組み 海運業界と環境問題

A:海洋環境 1.油による汚染防止(附属書 I)

1 2 3 4 5 6 7 8

(1) (2) (3) (4) (5)_1 _2

(3)OPA 90

 1989年3月24日未明、アラスカのバルディーズ港から原油126万バレル(約20万kl)を満載してロングビーチ港へ向け出港した「エクソン・バルディーズ号(Exxon Valdez)」(211,469 DWT、1986年米国建造)は、バルディーズの南西22マイルの地点で座礁した。13の貨物油タンクのうち11個に破孔を生じ、回収機材輸送の遅れもあって、最終的に26万バレル(約4万1000 kl)の原油が流出し、約2500キロの海岸線が汚染された。
 漂着した原油により、推定10万羽の海鳥や100万頭の海洋生物の命が奪われ、海洋生態系は極めて大きな影響を受けた。エクソン社は、原油を除去するために1500の船を使用し、12,000人が手作業で除去作業を行うなどして、この除去作業に20億ドル以上を費やした。
 これを契機に米国内では油濁防止に関する関心が高まり、前年まで4件しかなかった油濁防止関連法案が、1989年上半期には23件も提出された。上下両院での審議を経て、8月4日に上院において法案S-686が、11月9日に下院において法案HR-1465がそれぞれ可決され、その後、両院協議会での協議の結果、HR-1465を修正した油濁に関する包括的・一元的な法案を作成した。
 この間、法案の内容が関連業界にとって余りにも厳しいものであったため、石油業界は挙って反対運動を開始し、環境保護団体と海運・石油業界との攻防の後、1990年8月2日、上院で99:0、3日下院で36:0の全会一致で可決し、8月18日ブッシュ大統領がこれに署名して1990年米国油濁法(Oil Pollution Act of 1990:OPA 90)として成立した。しかし、1990年米国油濁法は、既存の州法に対し優先権を持たないものであったため、州法と連邦法の両方の規定が適用されることとなり、米国内で一元的かつ統一的な規制を行うという当初の考えとは異なるものとなった。
 OPA 90により、全てのタンカーはダブルハル(二重船殻:二重底および二重船側)が義務付けられた。また、現存船については総トン数および船齢に応じて段階的にダブルハルが義務付けられ、これに適合しないタンカーは米国への寄港が禁止された(シングルハルタンカーのフェーズアウト)。主な内容は以下の通り。

Pre-MARPOL船(1982年6月以前に引き渡しを受けた船舶)は、船齢による段階的排除を経たのち、2010年1月1日以降は米国に寄航できない。)

Post-MARPOL船は、2015年1月1日以降は米国に入港できない。

1974年深水港法の適用を受ける深水港(例:LOOP)は、Pre-MARPOL船、Post-MARPOL船のいずれも2015年まで入港できる。