日本船主協会

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A:海洋環境 7.バラスト水の管理に関する国際条約

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(1)バラスト水問題について

 バラストは、「船舶の喫水、トリムを変化させて適正なプロペラ効率や舵効を確保するとともに、復元性や船体に加わる応力負荷を許容範囲に保って安全運航を行うために、船内に搭載される何らかの固体または液体」と定義されるが、固体バラストは積降に時間がかかり、また、航行中に移動して船舶が不安定になる危険性があることから、海水がバラストして使用されている。なお、船舶の種類毎のDWT(載貨重量トン数)に対するバラストタンクの容量および実際のバラスト水積載量の比率は、概ね以下のとおりである。

船種

タンク容量
(対DWT比率)

実際のバラスト水積載量
(対DWT比率)

原油タンカー

40%

30~40%

ばら積み船

60%

30~60%

チップ専用船

50%

40~50%

LPG船

50%

30~40%

LNG船

80%

60~70%

自動車専用船

45%

貨物積載時10~40%
空船時20~40%

コンテナ船

30%

貨物積載時5~20%

 現在、年間100~120億トンものバラスト水が移動していると推定されており、世界中の港湾および周辺海域において漲・排水されることで、バラスト水に混入した貝、プランクトン等の海洋生物および病原体が移動している。移動した大部分の海洋生物は、異なる生活環境(海水温、塩分濃度等)では生存することが出来ないが、中には移動先の海域で繁殖して在来種を絶滅に追い込むなどの海洋環境への悪影響や発電所等の取水口を塞ぐなどの被害事例が報告されている。なお、1日当たり3,000~4,500種の海洋生物が輸送されていると言われ、その内の約60%が国際貿易、約40%が国内貿易によるものと推定されている。また、2000年に(社)日本海難防止協会が実施した、我が国のバラスト水輸出入(漲・排水)試算結果(1997年日本寄港の500総トン以上の外航船)によれば、年間約3億トンを輸出し、約1,700万トンを輸入しているものと推定され、資源輸入大国であるわが国が世界有数のバラスト水輸出大国である特徴が顕著に表れているとしている。
 一方、バラスト水問題への対応としては、バラスト水を外洋航行中に交換すること(リバラスト)は、本問題への有効な対策のひとつであり、各国におけるバラスト水関連規則に対応するために各船において実施されている。しかしながら、外洋におけるバラスト水交換は、復原性、船体強度等に影響を及ぼす可能性があること、海象・気象状況によっては実施が困難なこと、短距離の航海では時間的な制約があること等の問題点が指摘されている。
 このため、バラスト水管理のための条約が採択される以前から、バラスト水に含まれる有害海洋生物を確実かつ合理的に処理する方策について、物理的手法(熱、超音波、紫外線、銀イオン、電気等)、機械的手法(フィルタリング法等)、化学的手法(オゾン、酸素除去、塩素等)など様々な管理手法の研究開発が進められているが、いずれも実用化に至っていないのが現状である。

■資料16:有害海洋性生物による被害事例
■資料17:主なバラスト水管理手法移
■資料18:検討中のバラスト水管理手法