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2001年IMB海賊レポート
国際商業会議所(International
Chamber of Commerce: ICC)の下部組織である国際海事局(International
Maritime Bureau: IMB)の海賊情報センター(クアラルンプール)は、2001年に同センターに連絡のあった海賊事件(未遂事件も含む)の報告書を発行した。
それによると、2001年の海賊事件の報告件数は、過去最高を記録した2000年の469件から29%減少し、335件となった。特にマラッカ海峡では昨年の75件から17件に減少しているが、これはマレーシア、シンガポール当局のパトロール強化に依るものとしている。東南アジア・極東地域の件数も前年より35%減少したが、依然全体の過半数(51%)を占めており、このうちインドネシアで91件(全体の27%)となっている。
報告件数は各地域で減少し、唯一増加しているのはアフリカ地域(ナイジェリア、紅海、象牙海岸等)(68→86件、26%増)のみであったが、昨年より減少したとはいえ、アジア経済危機以前に比べれば3倍という、依然として高いレベルにあるといえる。
乗組員の負傷事例も減少しており、死亡者数は2000年の72名(5件:内1件はフィリピンにてフェリー上のバスが爆破されたことにより40名の死者を出したもの)から21名(4件)に減少しているが、武装した海賊による事件は増加傾向にあり、銃による武装が増えている。
また、2001年に入ってから、マラッカ海峡北部
アチェ沖において、船舶の乗組員が人質にとられ身代金を要求されるという事件が2件発生した。IMBは、人質事件は解放されればそれで良しとして以降の警察当局の煩わしい調査を避けたいとする船主の意図や、犯人から通報しないよう脅迫されていることも考えられることから、報告されていない事件がかなりあるものと見ており、新たな傾向として関係者に注意を促している。
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