13 平成16年度海運関係税制改正 

 

当協会は、平成157月開催の定例理事会において、16年度税制改正要望の基本方向を了承するとともに、別途、政策委員会の下部機構として設置された税制改革タスクフォース(座長:鷲見政策委員長)での検討を踏まえて、9月開催の定例理事会において、16年度税制改正については、15年度末に期限切れを迎える登録免許税および外航用コンテナに係る固定資産税の軽減措置をはじめとする延長項目を中心に要望することを決定し、政府・国会等関係方面への要望活動を開始した。

また、タックスヘイブン対策税制の改善および外国税額控除制度の拡充など国際課税については昨年度と同様に、当協会、日本貿易会等23団体で構成する国際課税連絡協議会のメンバー団体と連携して改善を求めた。さらに、償却制度の改善などの一般税制についても、日本経団連を通じて要望を行った。

これに先立ち、16年度税制改正に関連して、政府税制調査会が平成156月に取りまとめた『少子・高齢社会における税制のあり方』においては、昨年に引続き、あるべき税制の構築に向けた基本視点として、「経済社会の構造変化に対応しきれず、税負担の歪みや不公平感を生じさせている税制上の諸措置の適正化を図ること」や「安定的な歳入構造を構築すること」等が指摘されるとともに、16年度の税制改正に関する中間報告においても、これを念頭に置き、15年度税制改正の効果を的確に見極め、現下の経済・財政状況と当面の構造改革の推進を踏まえた検討を行う必要がある、と指摘された。さらに、16年度の税制改正に関する答申において、政策誘導的な租税特別措置・非課税等特別措置については、その目的や効果を十分に吟味し、整理・合理化を進めるべきである、と昨年に引続き厳しい姿勢が示された。

その後、これらを受けて122日に財務省より各省に対し厳しい租税特別措置整理合理化案が提示された。当協会要望事項についても他産業の延長項目と同様に全ての項目についてそれぞれ厳しい縮減が示されたばかりか、昨年延長が決定した「船舶等の特別償却制度」までもが縮減等の対象とされた。このため当協会は、国土交通省とも連携を図り、政府・国会方面にこれらの現状維持を精力的に訴えた。

その結果、1217日に決定された与党税制改正大綱において、国際船舶については縮減があったものの、その他の延長項目は現行通り2年間の延長が決定するとともに、整理の対象とされた「船舶等の特別償却制度」等は現行内容での存続が認められるなど概ね当協会の要望が実現した。平成16年度に当協会が要望した海運関係税制改正要望の結果は概略次のとおりである(詳細は資料1-3-1改正後の海運関係税制の全容は資料1-3-2参照)。

 

1)国際船舶に係る登録免許税の軽減措置

 国際船舶に係る所有権保存登記ならびに抵当権設定登記については、軽減措置が21000(現行1.51000)に縮減のうえ延長。

2)外航用コンテナに係る固定資産税の軽減措置

 現行内容にて延長。

3)外貿埠頭公社が所有および今後取得するコンテナ埠頭に対する固定資産税・都市計画税の軽減措置

 現行内容にて延長。

4)中小企業投資促進税制

 船舶については現行内容にて延長。

5)海外投資等損失準備金制度

 対象の絞込みはあったもののほぼ現行内容にて延長。