1・6 わが国外航商船の第二船籍制度の創設に向けた対応
1. 第二船籍制度創設の検討
当協会は、わが国における第二船籍制度の創設を検討するため、2003年6月構造改革委員会の下、「船籍問題小委員会(委員長:飯塚孜常任理事・国際エネルギー輸送社長)」を設置し、船社の望む同制度や関係者にとってのメリットなどについて検討し、その結果を資料1-6-1の通り取りまとめた。
第二船籍制度の概要等については、以下の通りである。
(1)第二船籍制度の概要
船社の望んでいる第二船籍制度は、パナマ籍などの外国籍船と同等、若しくはそれ以上の競争力をもった船籍制度である。
そのためには、登録免許税の引下げ、固定資産税の廃止、いわゆる日本人船員配乗要件(日本人船・機長2名)の廃止、そして船舶のハード面に関する規制を国際標準並みとすること、などが必要となる。
(2)検討経緯等
現在の日本商船隊は約2,000隻であり、このうち日本籍船は僅か110隻(2002年7月1日現在)で、残りはパナマ等への海外置籍船である。こうした事態を放置しておけば極めて近い将来に日本籍外航船はゼロに限りなく近づいていくことになる。
海外置籍は、日本籍船に競争力がない現状では、日本の海運企業の経営者にとって選択せざるを得ない方策であるが、一方で、置籍国(旗国)の政情等の影響を受けざるを得ないことから、日本籍船に比べ法的安定性に劣ることは否めず、わが国貿易物資の安定輸送を確保する観点からも注意しておく必要がある。
また、昨年のTAJIMA号事件を契機とし、日本人船員に対する犯罪には、外国籍船上であっても日本国刑法が適用されることとなったが、外国人船員同士の犯罪には依然として日本の管轄権が及ばず、こうした点を担保する手立ては完全には整っていない。さらに、船舶所有者と旗国に対する責任の明確化を求める声も高まっている。
日本の企業が日本籍の船を所有することが出来ないという状況はやはり不自然であり、近い将来、日本籍外航船が姿を消してしまう前に、外国籍船並み或いはそれ以上の競争力を持った日本船籍制度が必要ではないかと考え検討を行った。
(3)国際船舶制度についての考え方
わが国には「国際船舶制度」があるが、税制、船員配乗要件、船舶のハード面に関する規制等、どれをとっても競争力上は不充分なものである。当協会は、国際船舶制度の創設以来、実効ある制度に改善するようさまざまな機会で求めつづけてきたが、充分な対応はなされず、この間にも日本籍船の減少が続いているため、今般、構造改革特区構想として提案し、公の場における議論を期待するものである。
(4)税制の取扱い
政府の特区構想では、税財源措置の優遇を求める提案は検討対象とはしないこととされているが、当協会の求める第二船籍制度の全体像を提示するため、あえて税制要望を含む特区提案を行うこととした。税制措置については、特区と関連しての議論は行われないが、この点については、今後特区とは別のルートで要望活動を行っていくこととしている。
2. 構造改革特区問題への対応
当協会は、2003年11月27日、上記を概要とする「わが国外航商船の第二船籍制度の創設」を内閣官房構造改革特区推進室に提案した。
当協会の提案に対し、2004年3月26日に発表された国土交通省からの最終回答では、国土交通省海事局/当協会間で設置された「海運税制のあり方に関する勉強会」で、第二船籍制度の議論も含め引き続き真剣な検討を行っていく所存とされたものの「特区としての対応不可」と整理された。
なお、「海運税制のあり方に関する勉強会」は、外航海運政策全般を協議する「外航海運政策推進検討会議」に発展的に改組され、第二船籍制度についても実現に向けた議論を行う場が設定された(1・2 外航海運政策推進検討会議の設置 参照)。
その後、同年6月、同小委員会において、「第二船籍問題に関する基本的考え方」(資料1-6-2)を取りまとめるとともに、今治市との共同提案として、改めて第二船籍制度の創設について内閣官房構造改革特区推進室に提案を行った。しかし、最終回答においても、「特区としての対応不可」とされ、第二船籍制度の実現には至っていない。
これまでの内閣官房構造改革特区推進室への当協会からの提案および国土交通省回答の詳細は資料1-6-3の通りである。
〔資料1-6-1〕わが国外航商船の第二船籍制度創設について(2003.11日本船主協会)
1. わが国外航商船に第二船籍を必要とする理由
現在、日本の海運企業が運航する外航商船隊は全体で約2,000隻であるが、このうち1,300隻強が実質所有する外国籍船で、日本籍船は僅かに110隻を数えるに過ぎない。(参考@参照)
日本籍船がこのように減少し、今なお減少し続ける理由は、日本籍船に国際競争力が備わっていないからである。
全世界の企業との厳しい競争を行っている日本の海運企業が、日本籍船を所有することは、それに伴う税制や船員配乗要件等、多岐にわたる高コスト要因と厳しい規制を余儀なくされることであり、競争力を大幅に喪失することとなる。
幸い海運の世界では、パナマやリベリア等、船舶保有に関し最小の規制と低コストを提供する国々があり、これらの国に船籍を置くことによって競争力を確保しうる方策が存在するので、内外の海運企業はこの方策を取り入れて自らの存続を図ってきた。
換言すれば、こうした選択肢がなく、その所有船すべてを日本籍船とせざるを得なかったとすれば、日本の海運企業は国際競争場裡からの撤退を余儀なくされていたことは確実である。
しかしながら外国籍船は、置籍国(旗国)の法制などに船舶を服せしめることであり、これら諸国の置かれる内外の政治環境等の影響を受けざるを得ないことから、日本籍船に比し法的安定性に劣ることは否めず、わが国貿易物資の安定輸送を確保する観点からもこの点に留意しておく必要がある。また、2002年に発生したTAJIMA号における犯罪(参考A参照)にも充分に対応できない欠点を持っている。TAJIMA号事件については、その後法改正がなされ、日本の領海外における外国籍船上での日本人船員に対する重大犯罪には日本国刑法が適用されることとなり、問題は軽減されているが、なお同様の状況下での外国人船員同士の犯罪には日本国として適切に対処することができず、船舶の安全性を阻害する要因は完全には払拭されていない。
以上の如く、実質所有船舶の海外置籍は、現状では日本の海運企業にとって経営上選択せざるを得ない方策であるが、日本籍船が外国籍船並み或いはそれ以上の競争力を保持しうれば、船舶所有者と旗国に対する責任の明確化を求める声も高まる中、日本籍船志向が強まること必定である。
また、日本籍船が増加すれば、IMO(国連の「国際海事機関」)など海運に関する国際会議等において日本国の発言力に重みが増し、国益の向上が図られることとなる。
現状の制度をいつまでも放置すれば、近い将来に日本籍外航船舶がほぼ完全に姿を消すことは必至であり、外航商船を対象とする新たな日本船籍制度の創設を強く期待するところである。
2. 構造改革特区で提案する理由
1996年、わが国政府は日本籍船の減少に歯止めをかけるべく、「国際船舶制度」を創設しているが、@税制(外国籍船に比べ高額な登録免許税・固定資産税)、A船員配乗要件(日本人船・機長2名)、B船舶設備・検査要件(国際基準を上回る規制)等、競争力向上には不充分なもので、所期の目的を達成していない。
当協会は同制度創設以来、実効ある制度に改善するようさまざまな機会で求めつづけてきたが、充分な対応はなされず、日本籍船の国際競争力の向上には至っていない。
上述のように、この間にも日本籍船の減少は続いており、今般、こうした状況を打開するため、構造改革特区構想として提案することとしたものである。
同特区構想では、「単なる税財源措置の優遇を求める提案は検討の対象としない」とされているが、当協会による第二船籍制度の提案は、これまで外国に置籍されていた既存船や今後の新造船の多くが日本籍船に移行することを目的とし、これによって特区に指定された地域に財政上のメリットがもたらされ、「個性あふれる地域の発展」と「我が国経済の活性化」を実現しようとするものであるので、特区構想の趣旨に合致するものと考えている。
(注)船籍について すべての船舶は、船籍(国籍)を持つことが義務付けられ、登録国の法律に従い、船舶の検査、税金の支払いがなされる。 外航船舶は、外国の領海では船尾に船籍国の国旗を掲げることとされている。
船社の望む第二船籍制度
船社の望んでいる第二船籍制度とは、パナマ籍などの外国籍船と同等、若しくはそれ以上の競争力をもった制度、即ち、以下の条件が満たされた制度である。
(1)税制
@
登録免許税について
新造船については、パナマ籍など外国籍船並みとする。既存の外国籍船の日本籍船への転籍を促進するため、第二船籍制度創設後5年間は非課税とする。6年目以降は新造船と同様外国籍船並みとする。
A
固定資産税について
課税が海運業や特定の設備型産業に偏重し、課税の中立性にも問題があることから船舶(償却資産)に対する課税を廃止する。(当協会の平成16年度税制改正要望)
(2)船員配乗要件等
日本籍船に対するいわゆる日本人船員配乗要件を廃止するため、船舶職員法第23条の2第2項の規定に基づく就業範囲の指定に関する海上技術安全局船員部長通達(海職第284号の2、平成11年6月11日)を改正する。
また、外国人船員の海技資格承認試験制度の抜本的見直し等、関連資格の取得手続の簡便化等を図る。
(3)船舶の設備等に関する規制緩和
外国籍船(含む建造中)の日本籍船への転籍を促進するため、日本籍船特有の船舶設備・検査要件や売買船に際しての各種手続きおよび規制について、国際標準並みのものとする。
関連資料
(1)税金比較
パナマ籍船のInitial
Feeと日本籍船の登録免許税の比較
|
ハンディサイズバルカー |
ケープサイズ |
VLCC |
コンテナ船 |
|
パナマ |
US$12,690 |
US$18,350 |
US$23,900 |
US$14,840 |
|
日 本 |
US$28,438 |
US$58,438 |
US$100,000 |
US$77,344 |
|
(参考) |
|
|
|
|
|
リベリア |
US$14,480 |
US$19,550 |
US$24,750 |
US$15,780 |
パナマ籍船のAnnual
Feeと日本籍船の固定資産税の比較
|
ハンディサイズバルカー |
ケープサイズ |
VLCC |
コンテナ船 |
|
パナマ |
US$7,690 |
US$11,850 |
US$17,400 |
US$8,340 |
|
日 本 |
US$7,416 |
US$14,832 |
US$26,021 |
US$22,990 |
|
(参考) |
|
|
|
|
|
リベリア |
US$9,990 |
US$14,150 |
US$19,350 |
US$10,640 |
何れも当協会調べ(前提条件は以下の通り)
・ 船価およびトン数
|
船価(百万US$) |
GRT |
NRT |
ハンディサイズバルカー |
US$20
|
35,000
GRT |
23,000
NRT |
ケープサイズバルカー |
US$40
|
85,000
GRT |
55,000
NRT |
VLCC |
US$70
|
160,000
GRT |
95,000
NRT |
コンテナ船 |
US$62
|
75,000
GRT |
28,000
NRT |
・ 日本籍船は国際船舶とした。
・ 固定資産税は15年平均(VLCCは13年平均)。
・ 為替レートは1ドル120円。
(2)一船当たりの船員費比較
外国籍(パナマ)船の例 |
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わが国国際船舶の例 |
|
第二船籍船の例 |
|||
|
千US$ |
|
|
千US$ |
|
|
千US$ |
23名全員 |
700 |
|
日本人2名+ |
|
|
23名全員 |
700 |
〜 |
|
1,050 |
|
〜 |
|||
800 |
|
|
|
800 |
※当協会試算。
外国籍船(パナマ籍)の代表的な配乗例(23名配乗)
・ インド人船員5名+東南アジア人船員18名
・ 欧州人船員5名+東南アジア人船員18名
わが国国際船舶の代表的な配乗例(23名配乗)
・ 日本人船員2名+東南アジア人船員21名
(3)日本籍船特有の船舶設備・検査要件による制約・規制の例
@ 証書発給:
定期検査(5年に一度)時の証書の発給はすべて日本政府が行い、本証書がないと出帆不可。(発給業務は平日の9時〜17時のみ)。他国は、仮証書をNK(船級協会)が発給し、後日、本船に旗国政府発給の本証書を積み込み。
A 海外ドック時の対応:
各国の日本領事館において証書を発給できるシステムとなっているが、現実は事前連絡等が必要であり、他国籍のように「船級検査員がいれば、何時でも、何処でも」ということが難しい。
B 測度:
測度に関して、変更(改造工事や、日本籍買い戻し船)があった場合は、測度官が現場にて実測し、その後計算を行い証書発給となる。海外駐在の測度官はおらず、外交官パスポート取得(外務省所轄)、渡航費予算などの制約もあり、現実はかなり前広に段取りを行う必要がある。
C 設備要件:
救命設備(救命艇、筏、非常無線等)、航海機器(AIS、GPS、レーダ)、消火設備、海洋汚染防止(油水分離器)、海洋汚染防除資材、危険物輸送コンテナなどは、すべて指定検定機関として(財)日本舶用品検定協会の型式承認と検査を受ける必要があり、実質的には海外製品の採用が困難となっている。検査方法が煩雑で、認定が出るまでの時間も必要である為、海外建造船や買い戻し船においてかなりのコストが発生している。(改造費が5000万〜1億円程度となる場合もある)
D 検査インターバル:
日本籍船の場合、2.5年目の中間検査(旧、一種中間検査)で乾ドックに入渠が必要であるが、外国籍船では、ダイバーによる水中検査が可能で、乾ドックへの入渠は5年目だけで良い。
参考@
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|
日本商船隊(隻数) |
|
|
|
日本商船隊(隻数) |
||||
|
|
日本籍船 |
外国用船 |
合 計 |
|
|
|
日本籍船 |
外国用船 |
合 計 |
|
|
|
|
|
||||||
S44 |
1969 |
1,424 |
236 |
1,660 |
|
S61 |
1986 |
957 |
1,292 |
2,249 |
S45 |
1970 |
1,508 |
462 |
1,970 |
|
S62 |
1987 |
816 |
1,266 |
2,082 |
S46 |
1971 |
1,531 |
592 |
2,123 |
|
S63 |
1988 |
640 |
1,487 |
2,127 |
S47 |
1972 |
1,580 |
655 |
2,235 |
|
H1 |
1989 |
532 |
1,470 |
2,002 |
S48 |
1973 |
1,476 |
820 |
2,296 |
|
H2 |
1990 |
449 |
1,543 |
1,992 |
S49 |
1974 |
1,427 |
973 |
2,400 |
|
H3 |
1991 |
419 |
1,641 |
2,060 |
S50 |
1975 |
1,317 |
1,152 |
2,469 |
|
H4 |
1992 |
376 |
1,637 |
2,013 |
S51 |
1976 |
1,274 |
1,142 |
2,416 |
|
H5 |
1993 |
340 |
1,708 |
2,048 |
S52 |
1977 |
1,234 |
1,174 |
2,408 |
|
H6 |
1994 |
280 |
1,710 |
1,990 |
S53 |
1978 |
1,204 |
1,290 |
2,494 |
|
H7 |
1995 |
218 |
1,781 |
1,999 |
S54 |
1979 |
1,188 |
1,200 |
2,388 |
|
H8 |
1996 |
191 |
1,816 |
2,007 |
S55 |
1980 |
1,176 |
1,329 |
2,505 |
|
H9 |
1997 |
182 |
1,839 |
2,021 |
S56 |
1981 |
1,173 |
1,232 |
2,405 |
|
H10 |
1998 |
168 |
1,802 |
1,970 |
S57 |
1982 |
1,175 |
1,165 |
2,340 |
|
H11 |
1999 |
154 |
1,842 |
1,996 |
S58 |
1983 |
1,140 |
1,035 |
2,175 |
|
H12 |
2000 |
134 |
1,905 |
2,039 |
S59 |
1984 |
1,055 |
1,080 |
2,135 |
|
H13 |
2001 |
117 |
1,983 |
2,100 |
S60 |
1985 |
1,028 |
1,407 |
2,435 |
|
H14 |
2002 |
110 |
1,878 |
1,988 |
|
|
|
|
|
|
※海事レポート(国交省海事局編)より |
参考A
TAJIMA号事件について
2003年11月
(社)日本船主協会
1. TAJIMA号事件の概要
2002年4月7日
台湾沖公海上を航行中のパナマ籍大型タンカーTAJIMA号船内でフィリピン人船員2名により、日本人二等航海士が殺害される事件が発生。
4/8 本船の要請に基づき、船内保安維持のため、海上保安庁職員が本船に乗船。
4/12 本船、姫路港入港。 同日、パナマ政府より外交ルートを通じて国際捜査共助の要請。
4/14 海上保安官全員下船。船長指揮のもと、民間人による被疑者の拘束・監視が始まる(〜5/15)。
4/19 被疑者を除くフィリピン人船員に上陸許可。
4/19 外務省からパナマ大使館に捜査資料送付。
4/27 パナマ大使館から捜査資料の主要部分を翻訳して本国に送付。
4/30 翻訳された主要部分が本国に到着。
5/14 パナマ政府から外務省に対して被疑者2名の仮拘禁の請求。
5/15 海上保安官により被疑者2名下船、東京高検に護送。 同日、本船、ペルシャ湾に向け出港。
6/14 パナマ政府から外務省に対して、被疑者の引渡請求。
6/18 東京高検から東京高裁に審査の請求。
8/12 東京高裁において審査。
2. TAJIMA号事件にて露呈した問題点
TAJIMA号事件が、公海上の外国(パナマ)籍船上で発生した、外国(フィリピン)人による邦人殺害事件であったことから、わが国刑法等の適用がなく、刑事裁判権を有するのは船籍国であるパナマだけであり、パナマからの要請がない限り、わが国当局による被疑者の拘禁等の措置が取れなかった。したがって、パナマからの要請に基づく拘禁までの間の被疑者の上陸は認められなかった。
これにより、本船がわが国領海内にありながら、4月12日の姫路港入港後、海上保安官が下船した4月14日から1ヶ月以上経過した5月15日に被疑者が下船するまで、民間人が被疑者を拘束・監視するという異常な事態となった。
3. 当協会の対応
当協会は、「TAJIMA号」事件を契機に「外国籍船上での犯罪等検討タスクフォース」を設置し、報告書を取りまとめ、民間努力では限界ある国内法令の整備など7項目について法務大臣を始めとする関係省庁、および海事振興連盟に対して要望した。
4. 刑法の一部改正
TAJIMA号事件を契機に超党派の国会議員で構成される「海事振興連盟」においても刑法を改正すべきとの声が高まり、政府は、「日本国外において日本国民が被害者となった犯罪に対処するための刑法の一部改正」(以下、刑法の一部改正)について、法制審議会の審議を経て、2003年2月21日、第156回通常国会に提出した。同法案は、衆議院及び参議院本会議において全会一致で可決・成立し、2003年8月7日施行された。
5. 現在の問題点
上記法改正がなされ、日本の領海外における外国籍船上での日本人船員に対する重大犯罪には日本国刑法が適用されることとなり、問題は軽減されているが、なお同様の状況下での外国人船員同士の犯罪には日本国として適切に対処することができず、船舶の安全性を阻害する要因は完全には払拭されていない。