17 国民保護法制(指定公共機関)の成立・施行 

 

1. 主な経緯

平成15年通常国会において、武力攻撃事態対処法をはじめとする所謂有事関連3法が成立し、同法の枠組みの下、国民保護法をはじめとする個別7法が平成16年通常国会で成立した。

武力攻撃事態対処法では、武力攻撃事態等における対処について、国、地方公共団体及び指定公共機関が国民の協力を得つつ相互に連携協力し措置を講じる旨の基本理念が定められている。一方、国民保護法では、国、地方公共団体及び指定公共機関の責務および国民生活の保護に関する措置等が定められている。

指定公共機関は、「独立行政法人、日本銀行、日本赤十字社、日本放送協会その他の公共的機関及び電気、ガス、輸送、通信その他の公益的事業を営む法人で、政令で定めるもの」と定義されており(武力攻撃事態対処法第2条第6号)、輸送の役割としては、避難住民及び緊急物資の運送等が求められている。

指定公共機関は、国民保護法の施行(平成16618日)から3月以内に政令で指定されることとされており、内閣官房が、災害対策基本法の指定公共機関を参考にしつつ、関係省庁等と協議してきた。

 

2. 指定公共機関の決定

政府は、平成1697日、第5回国民保護法制整備本部(本部長:細田官房長官)を開催し、国民保護法を17日に施行することを決定するとともに、内航海運業者16社を含む合計160事業者からなる指定公共機関を選定した。(資料1-7-1参照)

外航海運事業者、および航空事業者(国際線)については、政府は、以下の理由により、指定しないことと整理した。

    国民保護法は国内における事態を想定したものであり、指定公共機関による避難住民の運送(法第71条)及び緊急物資の運送(法第79条)についても、国内における運送を規定したものである。

    国民保護法においては、指定公共機関による国際運送は想定していない。

    国民保護法における指定公共機関の行う業務は、現在行っている業務を前提にしており、新たな許可等の法的手続き等が必要となる業務は対象としていない。

 


資料1−7−1

指定公共機関の対象事業者

 

【災害研究機関】(18機関)

(独)海上技術安全研究所、(独)海上災害防止センター、(独)建築研究所、(独)原子力安全基盤機構、(独)港湾空港技術研究所、(独)産業技術総合研究所、(独)消防研究所、(独)情報処理推進機構、(独)情報通信研究機構、(独)森林総合研究所、(独)水産総合研究センター、(独)土木研究所、(独)農業工学研究所、(独)農業・生物系特定産業技術研究機構、(独)放射線医学総合研究所、(独)北海道開発土木研究所、核燃料サイクル開発機構、日本原子力研究所

 

【医療事業者】(2機関)

日本赤十字社、(独)国立病院機構

 

【公共的施設管理者】(8事業者)

(独)水資源機構、首都高速道路公団、日本道路公団、阪神高速道路公団、本州四国

連絡橋公団、関西国際空港(株)、中部国際空港(株)、成田国際空港(株)

 

【電気事業者】(12社)

沖縄電力(株)、関西電力(株)、九州電力(株)、四国電力(株)、中国電力(株)、中部電力(株)、東京電力(株)、東北電力(株)、北陸電力(株)、北海道電力(株)、電源開発(株)、日本原子力発電(株)

 

【ガス事業者】(4社)

大阪瓦斯(株)、西部瓦斯(株)、東京瓦斯(株)、東邦瓦斯(株)

 

【運送事業者】(78社)

〇国内旅客船事業者(11社)

大島運輸(株)、オーシャン東九フェリー(株)、(株)名門大洋フェリー、(株)マリンエキスプレス、関西汽船(株)、商船三井フェリー(株)、新日本海フェリー(株)、太平洋フェリー(株)、(株)ダイヤモンドフェリー、阪九フェリー(株)、東日本フェリー(株)

 

〇バス事業者(25社)

JRバス関東(株)、JR九州バス(株)、JR四国バス(株)、JRバス東海(株)、JRバス東北(株)、JRバス北海道(株)、中国JRバス(株)、西日本JRバス(株)、小田急バス(株)、神奈川中央交通(株)、近鉄バス(株)、京王電鉄バス(株)、京成バス(株)、京阪バス(株)、京浜急行バス(株)、国際興業(株)、西武バス(株)、東急バス(株)、東武バスセントラル(株)、南海バス(株)、阪急バス(株)、東都観光バス(株)、日本交通(株)、三重交通(株)、名阪近鉄バス(株)

 

〇航空事業者(9社)

エアーニッポン(株)、(株)ジャルエクスプレス、(株)日本航空インターナショナル、(株)日本航空ジャパン、スカイネットアジア航空(株)、スカイマークエアラインズ(株)、全日本空輸(株)、日本トランスオーシャン航空(株)、北海道国際航空(株)

 

〇鉄道事業者(23社)

北海道旅客鉄道(株)、四国旅客鉄道(株)、九州旅客鉄道(株)、日本貨物鉄道(株)、東海旅客鉄道(株)、西日本旅客鉄道(株)、東日本旅客鉄道(株)、近畿日本鉄道(株)、小田急電鉄(株)、京王電鉄(株)、京成電鉄(株)、京阪電気鉄道(株)、京浜急行電鉄(株)、相模鉄道(株)、西武鉄道(株)、東京急行電鉄(株)、東武鉄道(株)、名古屋鉄道(株)、南海電気鉄道(株)、西日本鉄道(株)、阪神電気鉄道(株)、阪急電鉄(株)、東京地下鉄(株)

 

〇内航海運業者(5社)

井本商運(株)、川崎近海汽船(株)、近海郵船物流(株)、栗林商船(株)、琉球海運(株)

 

〇トラック事業者(5社)

佐川急便(株)、西濃運輸(株)、日本通運(株)、福山通運(株)、ヤマト運輸(株)

 

【電気通信事業者】(16社)

日本電信電話(株)、東日本電信電話(株)、西日本電信電話(株)、NTTコミュニケーションズ(株)、KDDI(株)、日本テレコム(株)、(株)NTTドコモ、(株)NTTドコモ関西、(株)NTTドコモ九州、(株)NTTドコモ四国、(株)NTTドコモ中国、(株)NTTドコモ東海、(株)NTTドコモ東北、(株)NTTドコモ北陸、(株)NTTドコモ北海道、ボーダフォン(株)

 

【放送事業者】(20社)

日本放送協会、朝日放送(株)、(株)テレビ朝日、(株)テレビ東京、東海テレビ放送(株)、(株)東京放送、(株)フジテレビジョン、(株)毎日放送、関西テレビ放送(株)、中京テレビ放送(株)、中部日本放送(株)、名古屋テレビ放送(株)、日本テレビ放送網(株)、讀賣テレビ放送(株)、大阪放送(株)、(株)日経ラジオ社、(株)ニッポン放送、(株)TBSラジオアンドコミュニケーションズ、東海ラジオ放送(株)、(株)文化放送

 

【その他】(2機関)

日本銀行、日本郵政公社