1・2 平成17年度海運関係税制改正への対応

 

 

租税特別措置法上、最も古い制度である船舶等の特別償却制度は、当初、財務省より厳しい整理合理化案が提示されたが、国土交通省とも連携を図り、制度の延長・存続を関係方面に精力的に訴えた結果、一部見直しはあったものの、船舶については、対象船舶を環境負荷低減型に限定したうえで現行通り延長が認められたほか、その他の延長要望項目も現行内容での存続が認められた。平成17年度税制改正の経緯は概要以下のとおりである。

 

当協会は、20048月開催の政策委員会において、税制改正を巡る四囲の情勢を踏まえ17年度税制改正要望の基本方向を決定し、その後の検討を踏まえて、9月開催の定例理事会において、20053月に適用期限切れを迎える「船舶等の特別償却制度」の延長・恒久化を中心に、「平成17年度税制改正要望」として要望項目を取りまとめ、政府・国会等関係方面への要望活動を開始した。

 

船舶の特別償却制度については、これまでの対象要件である近代化設備に加え、NOx量削減など環境低負荷設備を加え延長・恒久化を要望していたが、財務省から20041130日に提示された整理合理化案では、特別償却制度については、環境負荷低減型船舶に対象を限定したうえで償却率の引下げ、外航および内航の二重構造タンカーに係る償却率上乗せ分の廃止、および船員訓練設備の特別償却制度廃止が打ち出された。さらには内航船に係る圧縮記帳や中小企業投資促進税制の見直し、特別修繕準備金制度の縮減等の方針が打ち出されるなど、極めて厳しい内容であった。

このため当協会は、国土交通省とも連携し、政府・国会等関係方面に対し、諸外国がトンネージタックス等の導入により自国海運業の振興を推進しているのに比べ、わが国は海運助成・強化策が著しく遅れており、わが国外航海運の国際競争力を確保するためには各種税制による措置が不可欠であることを強力に訴え、理解を求めた。

 

その結果、1215日に決定した与党税制改正大綱においては、特別償却制度のうち、外航および内航の二重構造タンカーの償却率上乗せ分、および船員訓練設備は廃止されたものの、船舶の対象を環境負荷低減型に限定したうえで現行と同率での延長が認められた。また、内航船に係る圧縮記帳や中小企業投資促進税制、特別修繕準備金制度については現行内容での存続が認められた。

 

タックスヘイブン対策税制の改善および外国税額控除制度の拡充などを要望していた国際課税関係については、当協会、日本貿易会等23団体で構成する国際課税連絡協議会のメンバー団体と連携して精力的な陳情を行った結果、タックスヘイブン対策税制が一部見直しされ、欠損金の繰越期限5年が7年に延長(但しタックスヘイブン適用開始以前に発生した欠損金には適用しない)されたほか、課税済留保金額の損金算入制限5年が10年に延長(平成12年度以降の課税済留保所得からの配当を対象)された。さらに、リース事業の課税逃れに対処するため、関係する税法が強化されることとなり、法人税関係では、出資額以上の損金は認めないことや収益保証契約等が結ばれている場合は損金算入を認めないとの規制強化が、原則として平成1741日以降に締結される組合契約より行われることとなった。

 

平成17年度に当協会が要望した海運関係税制改正要望の結果は資料1-2-1、改正後の海運関係税制の全容は資料1-2-2のとおりである。

なお、特別償却制度についての設備要件を記した「平成17年財務省告示124号」は資料1-2-3のとおりである。