5・2 港湾整備関係

 

521 交通政策審議会港湾分科会の動き

 

交通政策審議会港湾分科会では国土交通大臣の諮問に応じて以下の項目が審議されることになっている。

1)      港湾の開発、利用及び保全並びに開発保全航路の開発に関する基本方針

2)      港湾計画

3)      港湾整備5ヵ年計画

4)      特定港湾施設整備事業の整備計画

5)      広域臨海環境整備センターの基本計画

6)      港湾及び航路に関する重要事項

2004年度に開催された港湾分科会(1015)においては、主に「港湾の開発、利用及び保全並びに開発保全航路の開発に関する基本方針」の変更並びに神戸港、大阪港、名古屋港等の港湾計画改訂についての審議がおこなわれた。当協会からは平野裕司政策委員会副委員長(港湾担当)が委員に就任し、船社意見の反映に努めた。

 

 港湾分科会の主な審議内容

 第10回 (2004年5月28)

    「港湾の開発、利用及び保全並びに開発保全航路の開発に関する基本方針」の変更について

   地震に強い港湾のあり方について(諮問)

 第11 (200479)

    前回審議された基本方針変更についての答申

   名古屋港、清水港、鹿児島港の港湾計画

 第12(20041126)

   大阪港、神戸港等の港湾計画

   黒田勝彦神戸大学工学部教授が港湾分科会長に選任された。

 第13 (2005322)

   地震に強い港湾のあり方についての答申

    東京湾、大阪湾の港湾計画基本構想について

   函館港、石巻港、横須賀港等の港湾計画

 第14 (2005517)

   安全で経済的な港湾施設の整備・維持管理システムのあり方について(諮問)

 15 (2005630)

   特定港湾施設整備事業基本計画(諮問、答申)

   四日市港、横浜港、名古屋港、神戸港、大阪港、境港の港湾計画

 

 

522 スーパー中枢港湾政策

 

交通政策審議会港湾分科会は、2002年7月に「経済社会の変化に対応し、国際競争力の強化、産業の再生、循環型社会の構築などを通じて、より良い暮らしを実現する港湾政策のあり方(中間報告)」を取纏めた。同中間報告において、特定の港湾に集中的に投資し、コスト低減、サービス向上のための施策を先導的・実験的に行って、アジア諸港を凌ぐ競争力を実現する「スーパー中枢港湾」(具体的には 港湾コスト3割削減、リードタイム1日化といった政策目標)が提案された。

これを受け、国土交通省は学識経験者及び港運事業者、荷主、船社の代表を交えたスーパー中枢港湾選定委員会を200210月に設置し検討を開始した。その後4回開催された委員会での審議を経て2004年7月に阪神港、京浜港、伊勢湾の3港がスーパー中枢港湾に指定され、2004年度においてはこれらの港湾でターミナルシステムの統合・大規模化、IT化等に向けた育成プログラムの実施並びに社会実験を開始した。

又、スーパー中枢港湾が指定されてから1年が経過した200571日に各指定港湾での育成プログラム、社会実験の実施状況の報告並びに今後の育成に向けての課題を整理するために第6回目のスーパー中枢港湾選定委員会が開催された。

 

 

スーパー中枢港湾プロジェクトの推進

 


 

 

523 港湾の管理・運営のあり方に関する検討部会

 

200410月に埠頭公社のあり方を中心にスーパー中枢港湾の適切・効率的な管理運営についての検討をおこなうことを目的にスーパー中枢港湾選定委員会のワーキンググループとして「港湾の管理・運営のあり方に関する検討部会」が設置された。当協会からも委員が参画し、公社埠頭の借受者としての立場から既存公社埠頭の競争力強化策について意見を述べた。5回に亘る議論を踏まえて最終報告書が取纏められたが、国としての既存公社埠頭に対する財政措置を伴う支援については明記されなかった。しかしながら公社組織の見直し、広域連携強化の必要性など我々より提案された意見が盛り込まれており、一定程度評価できる内容になっている。今後はこれらの施策を速やかに具体化していくことが求められる。

 

 

港湾の管理・運営のあり方に関する検討部会報告書(骨子)


 

524 国際海上コンテナ貨物需要予測検討委員会

 

港湾行政の指針となる現在の基本方針は、2000年に告示されたもので、中枢・中核国際港湾、その他の港湾等のコンテナ貨物量見通し、港湾相互間の連携の確保などについて言及している。コンテナ貨物量の見通しについては10年後の2010年を目標年次とした予測値が示されており、2000年における博多港他11港の港湾計画改訂において指針とされてきた。一方2005年には東京、横浜、神戸、大阪などの主要港をはじめとする多くの港で港湾計画の改訂時期を迎えることから、この際の指針となる2015年を目標年次とする新たなコンテナ貨物量予測と、これをもとにした基本方針の変更が必要となった。

 このため、新たなコンテナ貨物量の予測を行うため、国土交通省は国際海上コンテナ貨物需要予測検討委員会を200310月に設置し検討を開始し、20045月にモデルによるコンテナ貨物量予測結果が取纏めた。当協会は、同委員会にも参画し、ユーザーとしての意見の反映に努めた。この結果は第1011回の交通政策審議会港湾分科会に諮られた後、交通政策審議会に答申された。

 

 

525 港湾施設の出入管理の高度化に関する検討会

 

1.検討会の概要

保安と物流の効率性の両立を図るためには出入管理の迅速化・効率化が重要であるとの認識のもと、港湾施設の利用者・管理者等との意見交換、認識の共有化をおこない、その上でこれらの解決策を検討するための「港湾施設の出入管理の高度化に関する検討会」を200489日から2005525日まで本委員会3回、小委員会3回計6回に亘り開催した。

 

2.検討結果

検討会を通じて得られた結論は以下の通り。

 

(ITを活用した出入り管理の高度化の必要性)

@港湾施設の出入管理において、保安の確実性の向上及び物流の効率性の両立を図る観点からITを活用した出入管理の高度化の必要性について港湾施設の利用者、管理者等関係者共通の認識に達した。

(全国共通の出入管理システムの必要性と国の役割)

A全国の港湾施設の保安性を向上し、一定レベルに保つ必要性、複数の港湾施設に出入りするトラック事業者及びターミナル運営者、港運関係者等の利便性の確保及びシステム運用コスト削減等の観点から、全国レベルで共通化されたID番号付与等全国統一の出入管理システムの確立が必要である。又、その中心的役割は国が果たすことが望ましい。

(コンテナターミナル等におけるノンストップゲートの推進)

B特に、コンテナターミナルにおいては、保安の確保と物流効率化の観点から、将来的には港湾物流情報プラットフォーム及びICタグ等の関連施策と連携したノンストップゲートの実現が望ましい。

(実証実験の実施)

Cノンストップゲート実現に向けた第一段階としてドライバーID番号及びパスワードによる本人確認方式について、ITを活用したゲート出入管理の実証実験をおこなうことで合意。実証実験は、コンテナターミナルを対象にトラック出入管理、人出入り管理及び共通ID管理システムに関する実証実験をおこなう。今後、国土交通省が詳細な実験内容、実施時期等を検討し、個別にターミナル管理者等の協力を得て実証実験対象ターミナルの選定をおこなう。

D上記@〜Cを踏まえて、今後の進め方は以下のとおり。

・実証実験を通じて、具体的システム(全国共通ID管理システム、ITを活用したターミナルの出入管理システム)の詳細を検討する。

・関係者間で実証実験の効果・成果の評価をおこなう場を設け、本施策のフォローアップをおこなう。

・実証実験の検討を踏まえつつ、関係者間の役割分担等について検討する。