資料3-3-2-3

200544日、ペナン

200547日、東京で発表)

了解事項

アジア船主フォーラム(ASF)

シッピング・エコノミックス・レビュー委員会(SERC

17回中間会合(ペナン)にて採択

 

 

アジア船主フォーラム(ASF)シッピング・エコノミックス・レビュー委員会(SERC)第17回中間会合は、ASFメンバー船協のアセアン、中国、台湾、香港、日本、韓国から6カ国/地域の代表24名が出席し、200544日、ペナンで開催された。出席者名簿は添付の通り。

 

1.(スマトラ島沖)地震・津波大惨事

冒頭、出席者は、200412月および20053月に南/南東アジアで発生した地震と津波による大惨事の犠牲者に黙祷を捧げた。

 

ASFメンバー船協およびSERCメンバー各船社が、犠牲者支援のために多数の無料支援物資輸送や寄付金を含む多くの効果的な支援と様々な貢献を行ったことが報告された。出席者はそうした支援活動を通じ海運業界が社会的使命を果たしていることの価値を再確認した。

 

2 ドライバルク/タンカー部門

1)ドライバルク市況は、この半年以上活発な市況を維持していることが報告された。バルクキャリアの市況に関する様々な予測と、特に中国における鉄鉱石/石炭の活発な需要から、ドライバルク市況は数年間は繁栄を続け得ることが留意された。

 

2)タンカー部門については、VLCC市況が堅調であり、当面この状況が持続するであろうことに留意した。

 

3 定期船部門

1)アジア域内トレードに関し、同トレードにおける2004年のコンテナ貨物の荷動き量は前年比7%増となり、900TEU近くという史上最高の荷動きに達したことが報告された。中国経済の急成長に主導され、アジア域内トレードにおけるコンテナ貨物荷動き量は少なくとも数年間は一貫した伸びを見せるであろうこと、そして船腹需給バランスの改善も見込まれるであろうことが留意された。しかしながら、出席者はそれに反する様々なコスト要因、特に用船料の高騰などの影響について留意した。それゆえCEOは、航路状況の正確な分析を行い、顧客である荷主からの適正な理解を得るために最善の努力を行うことを要請された。

 

2)太平洋トレードについて、出席者は閑散期の間も依然として続いた堅調な荷動きに留意した。コンテナ輸送能力と貨物量に関する予測によれば、同トレードの東航における現在の需給バランスはさらに数年は維持され得るものと思われるが、一方、出席者は、特に米国西岸での激しい港湾渋滞をはじめ、港湾/鉄道/トラック/フィーダーなどの諸料金の高騰、鋼板の高値によるコンテナ不足、燃料油価格の高騰、用船料の急騰、造船船価の上昇など、増大し続けるコスト要因への強い懸念を共有した。米国西岸における港湾渋滞という深刻な問題については、広範囲の港湾・物流インフラを構築するための包括的なプログラムが必要であり、こうしたプログラムには海運、貿易、港湾業界のみならず連邦/地域政府も含むすべての関係者の関与が求められている。

 

さらに出席者は、活発な東航の荷動きにより、太平洋航路の東航/西航の荷動きインバランスがさらに悪化したことを認識した。また、結局は米国西岸の港湾開発そのものを制限するであろう一層の環境規則についても留意した。出席者は、船社にとってさらに増大し、追加されてくるコスト要因に鑑み、すべてのCEOがそうしたコスト要因の検討に努め、顧客に太平洋航路の実態を知らせる努力をしていくことが重要であることに合意した。出席者は、各船社およびTSAIADAなど認可された船社間協議協定にとって、有効かつ建設的な対話を通じ、関係荷主との意見交換や協議に取り組んでいくことが絶対的に必要であることを確認した。

 

4.その他

1)外航船社間協定に対する独禁法適用除外制度について、出席者は、最近EUと豪州で見直しが行われていることを留意した。船社間協定がサービスの品質と効率性の向上に寄与し、現行の除外制度が荷主・船社を含む貿易業界全体の繁栄をもたらす制度であることを認識し、出席者は、協定の必要性について荷主や政府など関係者の理解を求めるため、船社が継続的な努力をしなければならないことに留意した。

 

2)マラッカ海峡における最近の日本籍タグボート武装強盗事件の概要が報告された。本件はASF安全航行および環境委員会(SNEC)の主要課題であるが、出席者は、深刻な拉致事件が再発したことに懸念を共有し、防止対策の一層の強化が必要であることに合意した。

 

3)出席者は、SERC会合に先立って本日開催されたアジア荷主協議会(ASC)とSERCメンバーとの対話が、アジアの荷主と船社間の相互理解を深めるために有効であったことに合意した。

 

4)最後に委員会は、2001年以来委員長を務めてきた草刈隆郎委員長からの委員長を退任するとの要請を承認した。SERCメンバーは、後任に芦田昭充日本船主協会常任理事(商船三井社長)が就任するという草刈委員長の提案を満場一致で了承した。芦田新委員長は本日の会合には欠席したが、すでにこの提案を受諾することに同意しており、本件は本年5月のASF豪州総会で正式に報告されることとなった。

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シッピング・エコノミックス・レビュー委員会(SERC)は、船社CEOが海運に関連するマクロ経済的な貿易情報やその動向を検討する場である。SERCの目的は、入手可能な経済データを考察し主要貿易問題の展望を共有することにより、経営意思決定の質を高めることである。