資料3-3-2-5

20051213日、東京

20051214日東京で発表)

了解事項

アジア船主フォーラム(ASF)

シッピング・エコノミックス・レビュー委員会(SERC

18回中間会合(東京)にて採択

 

アジア船主フォーラム(ASF)シッピング・エコノミックス・レヴュー委員会(SERC)第18回中間会合は、ASFメンバー船協のアセアン、中国、台湾、香港、日本、韓国から6カ国/地域の代表22名が出席し、20051213日、東京で開催された。出席者名簿は添付の通り。

 

 

1.  世界経済の概要

会合は、世界のマクロ経済構造が数年にわたり次第かつ確実に変化していることに留意した。例えば、消費物資の生産拠点のアジアへの移転は、米国における製品の低価格化とより高水準な個人消費をもたらした。世界貿易にとっての生産拠点であると同時に消費主義への巨大な可能性とともに急速に現出している国民経済である中国の持続的経済成長は世界貿易を押し上げている。その結果、東西航路におけるコンテナ貨物荷動きは引続き増加し、そうした安定状況が今後数年間は持続するものと見られている。

 

2.  ドライバルク/タンカー部門

120056月から8月にかけて急激に下落したドライバルク市況は、9月から回復を見せたことが報告された。2006年は、新造船引き渡しによって船腹量は増加するだろうが、これは荷動き量の増加によって相殺されるであろう。

 

2)タンカー部門については、現在のVLCC市況が適度に堅調であり、米国や中国における持続的な経済成長によって石油消費は引続き増加するものと見込まれていることが報告された。

 

3.  定期船部門

1) コンテナ海運業界における最近の大規模M&A(企業の合併・買収)に関連し、出席者は一連の合併が必ずしもコンテナ船腹量のネット(正味)の増加を意味するものではないことを確認した。それゆえアジア海運会社のCEOは、正確なデータ分析による冷静かつ思慮深い市場対応を奨励された。

 

2) 太平洋トレードについては、市況は引続き堅調であり、コンテナ貨物の荷動きはアジア、とりわけ中国、からの輸出の着実な伸びに支えられ健全であることが注目された。しかしながら、出席者は増大するコスト要因、特に外航船舶やフィーダー/内陸輸送の燃料油価格の高騰への懸念を共有した。また、鉄道機能、ターミナル能力、より厳格な環境規制についても深刻な懸念が表明された。会合は、将来の需要の伸びに見合った長期的再投資の継続を実行可能なものとするため、現在のコスト状況について荷主からの正しい理解を得るため最大限の努力をすることが、同トレードの運航船社CEOにとって絶対的に必要であることを強調した。

 

3) アジア域内トレードに関し、アジアは好況の最中にあり今後数年間はその状況は変わらないことが留意された。コンテナ貨物の荷動き量は、主に中国貿易の強力な成長に支えられ絶え間なく増加していることが報告された。しかしながら、出席者は同トレードにおいても、特に用船料や燃料油の高騰などの深刻なコスト要因に直面していることへの懸念を共有した。出席者は、荷主のサプライ・チェーン・マネージメントにおける重要な役割を果たす上で、増大する運航コスト回収のための適切な方策を見出すことが、全てのCEOにとって必要であると合意した。アジア船社CEOは、あらゆる経済要因を十分に考慮していく経営方針に基いて、世界各地の現地代表/代理店を含め会社の舵取りをしていくことを求められた。

 

4) インドネシア港湾における最近のターミナル・ハンドリング・チャージ(THC)問題について、民間による運賃設定行為に対し、不順守に対する厳格な罰則を伴う政府の直接介入が実施されたという混乱事態が同国で発生したことにつき遺憾をもって留意された。SERC出席者は、運賃やTHCを含むサーチャージなどの価格設定は、原理原則として商業問題であり、こうした問題は荷主と船社間の民間部門によって自由なマーケット体系と定期的な商対話の中で解決されるべきものであることを確認した。出席者は、本問題は商業上の知恵と対話を有効に活用しつつ、関係する全ての船社との十分な協議を含めた同国トレードの関係団体によって、迅速かつ建設的に対処されるべきであることに合意した。

 

5) 20054月のペナンで開催されたアジア荷主協議会(ASC)とSERCとの初対話会合以降、アジア荷主との関係を改善するためのフォローアップ活動が、継続的に推進されてきたことが報告された。

 

また、本年6月および11月に東京で開催された、日本政府と東京をベースとする荷主/船社の代表による「コンテナ・シッピング・フォーラム」の模様についても報告された。出席者は、そのような公開フォーラムでの関係者間による率直な意見交換の場を持つことの価値を認識した。

 

会合は、上記4)にも関連して、船社とその現地代表/代理店にとって、国内的/地域的な対話姿勢に基づいての真摯かつ建設的な関係の促進に向け、アジアの荷主と定期的な連絡を維持していくことがますます重要であることを再確認した。それゆえ、ASFメンバー船協は、こうした目的を達成するため、公的な各業界団体に最大限の支援を提供することが求められた。

 

4.  定期船海運業に対する独禁法適用除外制度

1) 出席者は、最近シンガポール競争委員会(CCS)が、同盟・協議協定・コンソーシャムなどの外航貨物定期船社間協定に対し、包括適用除外を与える方策を選んだと発表したことを特別に歓迎した。今回のシンガポールの決定は、アジアの近隣諸国をはじめ、世界の大部分の地域の法制と調和したものである。

 

2)一方、近々欧州委員会が、同盟に対する独禁法包括適用除外制度の廃止を公式提案する旨示していることが報告された。このような提案は、EU内部において徹底した検討が行われるべきである。また、ELAA(European Liner Affairs Association)が同盟代替制度の更なる提案を準備していることに注目し、船社間協定の一定機能の維持に向けたELAAの活動を全面的に支持することが確認された。

 

3) 出席者は、海運業の健全性と、増加する国際貿易需要を支えるために必要となるその投資能力を維持するため、独禁法適用除外制度は絶対に不可欠であるというASFの長年に亘る立場を確認した。同制度はまさに貿易業界全体に利益をもたらしているものである。出席者は、貿易の拡大を支える上で船社間協定が果たしている重要な役割について、荷主や政府などの理解を得るための努力を船社が継続すべきである点を強調した。

 

5.  その他

1) 海賊問題に関しては、事件数は減少しているものの、最近、身代金目的で人質を取ったり誘拐したりする武装強盗事件が驚くべき増加を示していることに留意した。本件はASF航行安全および環境委員会(SNEC)の主要課題であるが、暴力事件それ自体を防止するためのみならず海上テロの潜在的脅威に対処するため、海賊対策の一層の強化が求められていることを確認した。

 

2) 出席者はまた、WTO海運交渉や運輸保安問題を含む米国海事法制など海運業界に関する最近のその他の事項についても意見交換を行った。