10・1 CSR(企業の社会的責任)に関する当協会会員アンケート結果

 

(1)CSRアンケートの実施

近年、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)をより広い視野から捉えなおすことが重要であるとの認識が高まりつつある。

CSRについて明確な定義はないが、一般的には各企業の活動を、経済、環境および社会といった側面から総合的に捉え、企業価値の向上につなげることとされている。

日本経団連においては、CSRの推進に向け、会員企業における取り組みの実態に関するアンケート調査や先進的事例収集などを行っており、また政府においては、経済産業省をはじめ各省庁において、必要な施策のあり方等についての検討等が行われている。さらにISOInternational Organization for Standardization:国際標準化機構)は、CSRに関する国際規格を20083月までに発行すべく検討を行っている。

当協会は、CSRは基本的には企業毎に対応すべきものと認識しているが、今般、各企業の参考に供するため、当協会会員企業におけるCSRへの取り組みの実態についてアンケート調査を行い、【資料10-1】の通り取りまとめた。

 

(2)アンケート結果(概要)

アンケートは20053月、当協会会員全社(104社)に送付し、このうち66社より回答があった(63.5%)。

業態の内訳は、外航オーナーおよびオペレーターが約50%、内航オーナーおよびオペレーターが約30%、また船舶管理業務が36%となっている。(但し複数の業務を取り扱っている企業も多数あり。)また従業員については99人未満の企業が単体で61%、連結で44%となっており、小規模の企業が多い。

回答のあった企業のうち、「CSRを冠した取り組み」、或いは「CSRを冠してはいないがCSR関連の(若しくはそうと思われる)取り組み」を行っている企業は71%にもなり、安全運航が責務である海運業界ならではと思われる。また取り組みのきっかけとしては、トップダウンによるもの(45%)と、グループ会社の共通の対応として(49%)というのが高い。

具体的な取り組みとしては、コンプライアンス、安全運航・リスクマネジメント、環境保全といったものには8090%もの企業が取り組んでおり、経営理念や企業行動、社員の行動や倫理、環境に関する方針等についても約70%の企業が策定していることが分かった。

しかしながら、CSR報告書や環境報告書を発行している企業は少なく、77%もの企業が何も発行していない状況にある。

またCSR関連の最終責任者は社長と回答した企業が83%にものぼった。CSRに関する社内横断的な委員会を設置している企業は36%、担当役員を任命している企業も36%であった。しかし専門部署の設置や担当者を任命している企業は多くない。

一方、回答した企業66社のなかの19社は、現時点ではCSRに関する取り組みを行っていないが、うち68%もの企業が「CSRに興味がある」と回答しており、関心の高さが伺える。

 

(3)今後について

当協会は、CSRは企業毎に対応すべきものと認識しているが、試行錯誤の段階である企業が、今後どのように取り組んでいくべきかについての参考となることを目的に今回のアンケートを行った。