12 平成18年度海運関係税制改正への対応

 

当協会は、平成17年7月開催の定例理事会において、トン数標準税制の早期導入や、平成18年度末に期限切れを迎える特定資産(船舶)の買換特例措置(圧縮記帳)、国際船舶に係る所有権移転登記等の登録免許税の軽減措置、外航用コンテナに係る固定資産税の課税標準の軽減措置、外貿埠頭公社が所有または取得するコンテナ埠頭に係る固定資産税および都市計画税の特例措置などの延長をはじめとして、24の要望項目を取りまとめ、9月に「平成18年度税制改正要望【資料-2-1】」として自民党税制調査会に提出後、政府・国会等関係方面への要望活動を開始した。

一方、政府税制調査会が1125日にとりまとめた「平成18年度の税制改正に関する答申」では、租税特別措置等の整理合理化について、『本年度末を迎える不動産登記に係る登録免許税の軽減措置などについて、現行の措置を延長する必要はない』とするとともに、『租税特別措置・非課税等特別措置を講ずるにあたっては、これまでの答申で指摘している通り、既存の措置について大胆な整理合理化を進めつつ、競争力向上等の構造改革や経済社会の活性化を進めるために真に有効な措置に集中・重点化していかなければならない。』とこれまでになく厳しい姿勢が示された。

同答申を受けて11月末に租税特別措置等について財務省および総務省より各省に対し、厳しい整理合理化案が提示された。圧縮記帳については、買い換え資産である船舶を新造船または省エネルギー船に限定することや、外航コンテナに係る固定資産税の課税標準の軽減措置の廃止が打ち出された。さらには、内航船を対象とする中小企業投資促進税制、特別修繕準備金制度、外貿埠頭公社が所有または取得するコンテナ埠頭に係る固定資産税および都市計画税の特例措置の縮減など厳しい内容が示された。このため当協会は、国土交通省とも連携を図り、自民党税制調査会へ当協会の要望が反映されるよう国会議員へ陳情活動を展開し、これらの現状維持を精力的に訴えた。

その結果、1215日に決定した与党税制改正大綱においては、圧縮記帳では買い換え資産(船舶)について、新造船または環境配慮型の設備要件(ほぼ許容できる範囲の設備)を備えた中古船とされた。また、国際船舶の登録免許税の軽減措置について縮減があったものの、外航コンテナの固定資産税、特別修繕準備金が現行通り、コンテナ埠頭に係る固定資産税の特例措置もほぼ現行内容で延長が認められるなど、概ね当協会の要望が実現した。

 

また、当協会の要望項目でもある『償却制度の改善 @税法上100%償却を可能にすること、A耐用年数の短縮』に関連し、日本経団連の税制委員会企画部会では、「償却資産に係る税制ワーキンググループ」を平成174月に設置し、以降4回に亘り会合を開催した。

同ワーキンググループでは、当協会財務幹事も参画し、減価償却制度ならびに償却資産に係る固定資産税のありかたについて検討を重ね、日本経団連による平成18年度税制改正に関する提言において減価償却制度の改革として、償却可能限度額については100%償却可能とする要望を盛り込むこととなった。

一方、経済産業省では、平成18年度税制改正要望において、機械及び装置を対象(船舶・建物・構築物は対象外)とした償却制度の改善について、備忘価格まで償却可能とする要望を行った。

その後、自民党税制調査会で審議し、1215日の与党税制大綱において、長期検討課題とされ『減価償却制度は費用と収益を対応させる観点から設けられているものであるが、最近の償却資産の使用の実態や諸外国の制度を踏まえ、企業の国際競争力や財政への影響に配慮しながら、税制の抜本的改革と合わせ、総合的に見直しを検討する。』こととなった。

この結果を踏まえ、関係省庁などで償却制度全体について検討されることとなるが、当協会においてもこれを注視しつつ、海運業界が一方的な不利益を被らないよう必要に応じて意見反映するなど対応していくことした。

平成18年度の当協会が要望した海運関係税制改正要望結果は【資料1-2-2】、改正後の海運関係税制の全容は【資料1-2-3】の通りである。

なお、特別償却制度についての設備要件を記した「平成18年財務省告示151号」は資料1-2-4のとおりである。