5・6 国際港湾問題       

 

561 スエズ・パナマ運河問題 

(1)スエズ運河・パナマ運河通航船実態調査

当協会は、毎年会員各社の運航船舶(外国用船を含む)について、両運河に係る通航実態並びに通航料支払実績の調査を実施している。

調査対象期間は、従来より各運河運営団体の会計年度に合わせて調査しており、本年度においても、スエズ運河については200411日より同年1231日まで、パナマ運河については200441日より2005331日までとした。

 

[スエズ運河]

今回の調査によると、スエズ運河の利用状況は通航船社数では前年度と同じく13社であったものの、利用隻数は16.3%増加(2004年:1,203隻/2003年:1,034隻)し、G/Tベ−スでは20.4%増加(2004年:61,481G/T2003年:51,053G/T)するとともに、D/Wベ−スでも14.4%の増加(2004年:55,102D/W2003年:48,155D/W)となった。

また、料率の基本となるスエズ運河トン数(*1  SCNT : Suez Canal Net Tonnage)ベ−スでは16.4%の増加(2004年:60,543千トン/2003年:52,018千トン)となり、全体の通航料も26.5%の増加(2004年:307,470千米ドル/2003年:243,051千米ドル)となった。(表5-6-1-1参照)

船種別で見ると、自動車専用船が大幅な増加を示すとともに、バルクキャリア及びコンテナ船も増加した一方、タンカーが減少した。このうち自動車専用船はSCNTベ−スで39.0%の増加(2004年:23,357千トン/2003年:16,807千トン)、通航料も41.6%の増加(2004年:112,118千米ドル/2003年:79,157千米ドル)と大幅な増加となり、バルクキャリアはSCNTベ−スで17.5%の減少(2004年:5,455千トン/2003年:6,609千トン)したものの、通航料では18.9%増加(2004年:18,120千米ドル/2003年:15,244千米ドル)となった。

一方、タンカーはSCNTベ−スで12.4%の減少(2004年:1,206千トン/2003年:1,377千トン)、通航料も11.4%の減少(2004年:10,235千米ドル/2003年:11,556千米ドル)となり、前年の大幅な増加から減少に転じた。また、在来定期船もSCNTベ−スで5.0%の減少(2004年:288千トン/2003年:303千トン)、通航料でも5.3%の減少(2004年:2,307千米ドル/2003年:2,435千米ドル)となり前年度に引き続き減少した。(表5-6-1-2参照)

 

 

[パナマ運河]

2004年度のパナマ運河の利用状況は、通航船社数が前年度比較で1社減の13社となったものの、利用隻数は12.7%の増加(2004年:941隻/2003年:835隻)、G/Tベ−スでも19.0%増加(2004年:38,710G/T2003年:32,525G/T)するとともに、D/Wベ−スでは14.3%の増加(2004年:31,875D/W2003年:27,883D/W)となった。一方、料率の基本となるパナマ運河トン数(*2  PCNT : Panama Canal Net Tonnage)ベ−スでは29.5%の増加(2004年:39,908千トン/2003年:30,810千トン)となったことから、全体の通航料は13.0%の増加(2004年:115,424千トン/2003年:102,157千トン)となった。(表5-6-1-3参照)

船種別について見ると、自動車専用船、コンテナ船が増加する一方、在来定期船が減少した。このうち自動車専用船はPCNTベースで58.9%の増加(2004年:23,703千トン/2003年:14,915千トン)、通航料でも16.5%増加(2004年:67,922千米ドル/2003年:58,284千米ドル)と前年度の減少から増加に転じ、コンテナ船は、PCNTベースでは6.1%の増加(2004年:9,108千トン/2003年:8,584千トン)、通航料も12.2%増加(2004年:27,250千米ドル/2003年:24,286千米ドル)となり、昨年に引き続き増加した。

一方、在来定期船はPCNTベ−スで6.8%の減少(2004年:248千トン/2003年:266千トン)、通航料も3.7%の減少(2004年:1,027千米ドル/2003年:1,066千米ドル)、また、バルクキャリアはPCNTベースで5.0%減少(2004年:6,265千トン/2003年:6,597千トン)したものの、通航料は2.3%の増加(2004年:17,778千米ドル/2003年:17,373千米ドル)となった。(表5-6-1-4参照)

 

 

*1  スエズ運河トン数

     (SCNT : Suez Canal Net Tonnage)

1873年の万国トン数会議で定められた純トン数規則をもとに、スエズ運河当局独自の控除基準を加えて算出する。二重底船の船底にバンカー油を積載した場合その部分の控除を認めない等、パナマ運河や各国の規則とも異なる独特のもの。

 

*2   パナマ運河トン数

      (PCNT : Panama Canal Net Tonnage)

  1969年のトン数条約による国際総トン数の算出に用いた船舶の総容積に、パナマ運河当局独自の係数をかけて算出する。船舶法に定める総トン数、純トン数とは異なる。