6・3 海上交通安全対策

 

 

6・31 こませ網漁業安全対策

 瀬戸内海備讃瀬戸海域においては、永年にわたり、「こませ網」漁業の盛漁期にあたる2月から6月の間、同漁業によって、海上交通安全法に基づき船舶の通航路として定められた航路の可航幅が狭められ、場合によっては全面閉塞される事態が度々発生している。その結果、通航船舶は航路外あるいは行き会い船が通航する航路(自船の進行方向と反対に進行する船の航路)での通航を余儀なくされ、非常に危険な航行をせざるを得ない状況となっている。このことから、当協会は関係省庁等に対する航行船舶の安全確保の要望や、各種委員会における関係者との協議・検討を通じ、同海域の航行安全対策に取り組んでいる。

 

1.安全対策への取り組み

当協会は、内海水先人会と協議のうえ、運航船社として実行可能な「こませ網」漁業盛漁期間中における安全対策を策定し、その実施について会員会社へ協力を求めるとともに、同安全対策に基づく措置として、同漁業盛漁期間中は毎日、備讃瀬戸東航路の巨大船航行予定を漁業関係者へ周知した。

また、関係海事団体(日本船長協会、日本パイロット協会、日本旅客船協会、全日本海員組合、日本内航海運組合総連合会)と協力して、2006217日に海上保安庁に対して、大型船の航行安全を確保するため、航路内における可航幅300mの確保、保安庁船艇の適切な配備による監視と航行指導の徹底、こませ網漁船操業状況情報の迅速な提供、漁具標識の統一等の要望書を提出して陳情した。これに併せ、同日は水産庁、220日には第六管区海上保安本部、翌21日には香川県農林水産部、翌々日22日には高松海上保安部および備讃瀬戸海上交通センターも訪問し、安全確保への協力を要請した。

 

なお、当協会は、瀬戸内海海上安全協会が現地において定期的に開催している備讃瀬戸海上安全調査委員会および備讃瀬戸海上交通調査委員会にも出席し、漁業従事者を含む関係者へ航行船舶の安全確保の要請を直接行った。このほか、同協会の実施するこませ網漁船体験乗船に船社の参加を広く募り、船社に対してもこませ網漁業が航路航行船舶に及ぼす影響について実情把握すべく協力している。

 

2.巨大船の避航状況

第六管区海上保安部の調査結果によれば、2006年のこませ網漁業による航路閉塞回数(可航幅300m未満)は442回(前年423回)、また巨大船の避航回数は86回(前年95回)となっている。前年に比べ、巨大船の避航回数は減少したが、こませ網漁業による備讃瀬戸東航路の全面閉塞により、1隻の巨大船が当日の同航路への入航を取りやめ、翌日の入航とせざるを得ない事態が発生した。

 

3.漁業盛漁期間中の航行安全対策の実施結果

 自主的に取り組んでいる航行安全対策の実施結果は次のとおりである。

(1)備讃瀬戸東航路航行船舶のうち進路警戒船を自主配備した隻数

(海上交通安全法の定めるものを除く巨大船)

@期間:2006224日〜731

西航船89隻、東航船101

  

(2)備讃瀬戸東航路の東航船のうち標識として曳船を配備した隻数

   (礼田埼沖に水路限界表示と操船補助船を兼ね大型曳船を配備)

期間:2006224日〜731

水島向け3隻、福山向け3

(3)備讃瀬戸東航路への入航調整を実施した喫水16mを越える船舶および大型危険物積載船の隻数

該当日15日間で対象船舶は7

(4)各港からの出港時間の調整を実施した隻数

水島港23隻、坂出港7

(5)来島海峡航路を経由して西航した巨大船

81

(6)こませ網に関連して発生した事故

  1件の漁具損傷が発生したが、安全対策開始前(211日)の事故であった。