6・4 海事保安問題への対応

 

6・4・1.船舶気象通報の情報公開問題

世界気象機関(WMO)では、SOLAS条約第5章第5規則によって船舶に推奨されている気象観測通報について、その通報項目や通報様式を定めた「篤志観測船(VOSVoluntary Observing Ships)制度」を運用している。同制度に参加した船舶から通報される気象観測データは、全てWMOに集約されることとなっており、各国の気象機関は、WMOの同データベースにアクセスすることで、世界中の気象情報を収集することができる。

しかしながら、ある私企業のインターネット・ウェブサイト上で、同制度で収集された全世界の気象情報が、通報船舶の船名や船舶特有の符号(船舶符号)および位置情報を含めて公開されていることが判明したことから、国土交通省は、現状のままでは船舶の保安確保に支障が生じるおそれがあるとして、船名等を伏せて気象通報を行なうよう、日本船社の船舶保安統括者(CSO)へ勧告を出し、問題解決するまでの当面の間、継続されることとなった。

また気象庁は、当協会、国土交通省と連携し、船舶符号等を表示しない通報システムの開発を検討し、さらにWMOに対しても同システムを利用するよう働きかけを行っている。