7・4  船員の社会保障制度及び労働協約の改訂

 

741 船員の社会保障制度の概況

1 適用状況の推移

船員法上の船員を対象とした船員保険及び厚生年金保険(第三種被保険者のうち船員)の適用事業所並びに被保険者数は、海運・水産業界の厳しい状況を反映して斬減傾向が続いており、20053月末の船舶所有者ならびに被保険者数は、前年に比べてそれぞれ113船主、1,353名の減少で、6,347船主、61,935名となっている。(資料7-4-1-1参照)

 

2 船員保険の財政状況

船員保険の財政は、被保険者数の減少に伴い、保険料収入も減少する一方で、疾病部門、失業部門の財政が引続き大幅な黒字のため、2005年度の収支は、全体で51億円の黒字で2年連続の黒字決算となった。

これにより2004年度の船員保険全体の積立金残高は、1,120億円となった。

(資料7-4-1-2参照、予算については資料7-4-1-3参照)

 

(1) 疾病部門

2004年度は、収支が前年度に比べ20億円悪化したものの35億円の黒字となった。

(2) 失業部門

2004年度は、失業率が引続き改善したため、保険給付費が低下し、前年度に比べ9億円増加の30億円の黒字となった。

(3) 年金部門(労災)

2004年度は、医療改革制度に伴う保険料率の見直しにより保険料収入が増加した一方、年金受給者はほぼ横ばいだったため、収支は前年度に比べ30億円改善して20億円の黒字に転じた。

年金部門の財政は、被保険者数の減少に比べ、年金受給者の減少が小幅に留まるため、今後も赤字幅が拡大していくことが懸念され、船員保険収支全体に与える影響が最も大きい部門である。

 

742  船員保険制度の改革

(1) 「船員保険制度のあり方に関する検討会」

 船員保険制度については、被保険者数の減少が続くとともに、管掌主体である政府において、船員保険特別会計の見直しや社会保険庁の組織改革が進められてきたことから、200410月に厚生労働省保険局長の懇談会である「船員保険制度の在り方に関する検討会」が設置され、200512月には「一般保険制度と統合すべき」とする内容の報告書が取りまとめられた。

同検討会には、使用者側代表として当協会の他、大日本水産会、日本内航海運組合総連合会、日本旅客船協会、日本経済団体連合の5名が、労働者側代表として全日本海運組合、日本労働組合総連合会の4名が、公益委員として学識経験者3名が参画してきた。

 

(2)  船員保険事業運営懇談会

船員保険制度のあり方に関する検討会の報告書では、統合に向けての具体的な内容については、1年程度の期間をかけて検討することとされたことから、厚生労働省は20064月に「船員保険事業運営懇談会」(座長:岩村正彦 東京大学大学院教授、事務局:社会保険庁)を設置し、年度内を目途に取り纏めを行うこととしている。

また、同懇談会には、使用者側代表として当協会の他、大日本水産会、日本内航海運組合総連合会、日本旅客船協会が、労働者側代表として全日本海運組合、日本労働組合総連が、公益委員として学識経験者が参画している。

 

74労働協約の改定

外航労務部会と全日本海員組合は、平成18年度の労働協約改定に関し、有効期間の改定を行う協定書を締結し平成18年度の協約が確定した。