8・1 内航海運の現状

 

内航海運の2005年度輸送量は、42,615万トン(前年比3.2%減)、輸送貨物量と距離を掛け合わせた輸送活動量は2,116億トンキロ(前年比3.3%減)であった【資料8-1-1照】

他の国内輸送機関の輸送量と比較すると、輸送トンキロベースでは自動車に次ぐ約4割のシェアを持つとともに、昨今の環境問題をも加味したモーダルシフト推進の要請もあり、内航海運は国内物流の基幹輸送産業として位置付けられる。

特に、石油、鉄鋼、セメント等の産業基幹物資に係る分野では、内航海運がその大部分を輸送しており、長距離・大量輸送に適した輸送機関であることを示している。

 

8-1-1 内航船の船腹量

内航海運事業者の所有する内航船(営業船)の船腹量は、20063月末現在、合計6,117隻、3,511千総トンで、10年前の1996年と比較すると、隻数では29.7%も減少しているが、トン数では13.8%減となっている。船種により増減のバラつきはあるものの、1隻当たりの平均総トンではいずれも増加しており、全体的に船舶の大型化が図られている【資料8-1-2参照】。

また、船齢別に見ると、船齢7年未満の船舶(経済船)が隻数で9.8%、総トン数で25%となっている。これに対して、船齢14年以上の船舶(老朽船)は隻数で57.4%、総トン数で36.3%となっている。平均トン数は、船齢7年未満の船舶では1,492総トンであるのに対し、船齢14年以上の船舶では370総トンであることから、中高齢船には小型船が多いといえる【資料8-1-3参照】。

船型別区分では、500総トン未満の船舶が隻数ベースで81%と大部分を占めている。なかでも、100総トン以上200総トン未満船が21.3%、400総トン以上500総トン未満船が19.5%を占めており、いわゆる199総トン型、499総トン型が内航船の一般的な船型になっていることを示している。一方、平均総トン数は、物流の効率化の要請に対応して年々大型化しており、574総トンとなっている【資料8-1-4参照】。

 

8-1-2 内航海運事業者

(1)内航海運事業者

内航海運事業者数は、20063月末現在で、3,952(兼業を除く実事業者数)社である。このうち、登録事業者は運送事業者が658社、貸渡事業者が2,067社で合計2,725社である。届出事業者は運送事業者が989社、貸渡事業者が238社で合計1,227社である【資料8-1-5参照】。このうち、登録事業者数の推移は資料8-1-6のとおりである。

なお、200741日に施行された改正内航海運業法では、許可制が登録制へと規制緩和されたことにより、許可事業者は登録事業者となった。同時に内航運送業および内航船舶貸渡業の事業区分も廃止された。

 

(2)内航海運事業者のうち登録事業者の企業規模

上述の内航海運事業者のうち、登録事業者の資本金別構成は、資料8-1-7のとおりで、資本金3億円未満および個人の事業者が全体の96.2%を占めており、とりわけ5,000万円未満の事業者が89.5%を占めている。使用隻数では、運送事業者は5隻以上が36%を占めている。

また、登録運送事業者の扱い船腹を見ると、使用船腹量の構成が2,000総トン未満の事業者が62.2%を占めている。一方、登録貸渡事業者では、貸渡船腹量の構成が500総トン未満の事業者が62.9%となっており、さらに貸渡隻数が1隻しかない事業者が69.6%を占めている。【資料8-1-8参照】