13 平成19および平成20年度の海運関係財政投融資

131 平成19年度海運関係財政投融資

平成19年度の日本政策投資銀行に係る財政投融資については、平成188月末、国土交通省をはじめとする関係省庁が財務省に対して要求を行っていたが、同年1224日の閣議において政府案が決定された。

海運関係の財政投融資については、貿易物資の安定輸送に資する外航船舶整備については569億円、また海運関連施設整備については25億円の要求を行い、外航船舶整備については、「広域ネットワーク整備枠」(鉄道・航空等を含んだ大枠)で2,600億円、また、海運関連施設整備については「地域経済振興枠」で1,700億円とされ、それぞれこの枠内で対応されることとなり、いずれも実質的に満額確保となった。また金利等の融資条件についてはいずれも現行条件が存続されることとなった。

 

132 平成20年度海運関係財政投融資

 平成20年度の日本政策投資銀行(以下、政投銀)に係る財政投融資については、平成198月末、国土交通省をはじめとする関係省庁が財務省に対して要求を行っていたが、同年1224日の閣議において政府案が決定された。

 海運関係の財政投融資については、貿易物資の安定輸送に資する外航船舶整備については586億円、また海運関連施設整備については25億円の要求に対して、外航船舶整備については、「広域ネットワーク整備枠」(鉄道・航空等を含んだ大枠)で1,900億円、また、海運関連施設整備については「地域経済振興枠」で750億円とされ、それぞれこの枠内で対応されることとなり、いずれも実質的に満額確保となった。また金利等の融資条件についてはいずれも現行条件が存続されることとなった。

 なお、政策系金融機関の改革の一環として、現在の政投銀は、平成2010月に民営化され(株式会社化)、以降おおむね57年間で政府保有株式が処分された後、完全民営化となる。平成20年9月以前の契約に係る外航船舶等への融資については、民営化スタート時点において政投銀が負う権利義務として平成2010月以降も承継されることになっている。一方、政府は完全民営化までの移行期間(平成2010月以降の57年間)中は、会社の有する長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されるよう、必要な措置を講ずるものとなっている。また政府は、民営化後は、会社の長期の事業資金に係る投融資機能を活用する場合には、対等な競争条件を確保するための措置その他投融資機能の活用に必要な措置を講ずるものとされている。すなわち、外航船舶等への融資を含む政投銀の政策金融機能を維持するためには、何らかの別途の措置を講じなければならないこととなっている。

 本件については、平成19年に行われた交通政策審議会海事分科会国際海上輸送部会においても議論がなされ、当協会からは現行の融資条件等が堅持されるよう鈴木会長(当時)が発言し、最終答申においては、「少なくとも同行に対する財政融資資金の貸付け等の特例措置がある移行期間中においては、この措置による同行の財務体質の強化を通じ、長期・安定的な貸付けが確保されることが必要と考えられる」、「また、完全民営化後における船舶金融のあり方についても、安定的な国際海上輸送の確保のための国際競争力の確保の観点から、検討する必要がある」として、長期・安定的な貸付けが確保されることが必要と整理されている。

 海事局は、平成20年度概算要求に合わせ、「非常時における対応を含む安定的な国際海上輸送を確保するため、外航船舶のうち日本籍船の整備については、平成2010月以降においても、株式会社政投銀の長期の事業資金に係る投融資機能の活用を含め、安定的な資金の供給が必要であると考えており、そのため必要な措置についてさらに検討し、実現を図ることが必要である」旨財務省に要望した。

 当協会としても、必要な政策金融が維持されるよう活動していくこととしている。