2・5 海洋汚染防止に関する問題
国家の管轄権の及ばない外洋において、貨物油、燃料油など船舶間における油の移送作業(Ship to Ship:STS)が定常的に行われている。
近年、同作業に付随する油流出事故が頻繁に発生しており、深刻な海洋汚染が引き起こされているとして、STSに関する規定をMARPOL条約附属書Tに新たに設けることが2006年4月のBLG10において合意され、検討が開始された。その後、2008年2月のBLG12において概略以下の内容の規則案が合意された。
<新規規則の概要>
・ 適用船舶:領海および排他的経済水域においてSTSを実施する総トン数150トン以上のタンカー
ただし、STSにはバンカー作業を含まない
・ 規則要件:主管庁が承認するSTS作業計画の本船への備え付け
:STSに関する沿岸国への事前通報
:STS作業記録の船内保管(3年間)
なお、適用対象にバンカー作業を含めないことおよび適用海域を「領海および排他的経済水域」とすることについて異議を表明する国があり、MEPC58において改めて審議される予定となっている。