3・3 EPA(経済連携協定)/FTA(自由貿易協定)
3・3・1 最近の動きを今後の見通し
日本政府は、WTOを中心とする多角的な自由貿易体制を補完するものとして、我が国の対外経済発展および経済的利益確保のため、EPA(経済連携協定)交渉を推進している。(「今後の経済連携協定の推進についての基本方針」については船協年報2005参照。)
我が国は2002年1月、シンガポールとのEPAを締結した後、メキシコ、マレーシア、フィリピンASEAN全体などと締結、現在はGCC(ペルシャ湾岸協力会議6カ国*)、ベトナム、韓国、などと交渉を行っている。
また、2009年からは東アジアとの交渉が開始するなど世界的にEPA交渉の動きが加速する中、今後さらに交渉期間の短縮化や相手国の増加が見込まれる。(わが国のEPA交渉状況は【資料3-3-1-1】参照。)
これら交渉において、当協会は、国土交通省を通じ海運分野の規制撤廃・緩和等改善を求めている。
* GCC(ペルシャ湾岸協力会議6カ国): UAE、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア
※EPAとFTA
EPA(経済連携協定):FTAの内容を基礎にしながら投資・人の移動・知的財産権・競争政策のルール等より幅広く経済的な関係を強化することを目的とした協定。
FTA(自由貿易協定):ある国や地域間だけで輸出入に係る関税や外資規制などを取り払い、それら国や地域の間でモノやサービスの行き来(貿易)を自由にすることを目的とした協定。
WTOとの関係:EPA/FTAは限られた相手との間で、WTOのもとで実現できる水準を超えて貿易を自由にすることや、WTOでは扱われていない分野での経済関係を強化することが可能であり、WTOを補完する役割を持つ。
3・3・2 日本経団連の取り組み
日本経団連は、WTOを中心とした多角的自由貿易体制の強化と、経済関係が深く重要な国・地域とのEPA/FTA締結を「車の両輪」として積極的に推進している。その一環として、2004年3月、「経済連携の強化に向けた緊急提言」を取りまとめEPA推進を政府などに働きかけてきた。また、EPA推進に総合的・横断的に取り組むため2006年5月、経済連携推進委員会を新設、会員企業にアンケートを実施し、提言「経済連携協定の『拡大』と『深化』を求める」をまとめ同年10月政府に要望した。(船協年報2006参照)
その後日本経団連は、2007年1月に、日本とスイスのEPA交渉の開始が合意されたことを受け、同年2月に提言「日・スイス経済連携協定の早期締結を求める」を発表、日・スイス経済連携強化の意義や両国間EPAに期待される効果を示した。また、同年6月には、米国に次ぐわが国の輸出先であるEUとの経済連携協定に関する共同研究の開始を求めた。
「日・スイス経済連携協定の早期締結を求める」:
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2007/013.html (2008.6現在)
「日EU経済連携協定に関する共同研究の開始を求める」:
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2007/050.html
(2008.6現在)
わが国EPA/FTA交渉の状況(2008年4月現在)
国・地域 |
発効 |
署名 |
妥結 |
状況 他 |
シンガポール |
2002. 11 |
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メキシコ |
2005. 4 |
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マレーシア |
2006. 7 |
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チリ |
2007. 9 |
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タイ |
2007. 11 |
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フィリピン |
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2006. 9 |
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ブルネイ |
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2007. 6 |
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インドネシア |
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2007. 8 |
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ASEAN全体 |
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2007. 11 |
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ベトナム |
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2007. 1 交渉開始 |
GCC 6ヵ国 |
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2006. 9 交渉開始 |
韓国 |
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2003. 12交渉開始。 2004.11から交渉中断 |
インド |
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2007. 1 交渉開始 |
豪州 |
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2007. 4 交渉開始 |
スイス |
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2007. 5 交渉開始 |