7.1 船員教育機関の現況と海技資格付与制度

 

7.1.1 船員教育機関の現況

()日本船員福利雇用促進センター(SECOJ)は、雇用されている船員および離職船員を対象として、16級海技士養成訓練、海上特殊無線技士等を養成する無線講習等の技能訓練を実施した。(資料:7-1-1(1参照)

()海技教育機構および商船系の国立大学法人(2大学)、商船高等専門学校(5) の入学者数状況および卒業生の求人・就職状況は資料(資料:7-1-1(2参照)のとおりであある。

(独)航海訓練所では、船員を志す者に対する教育・訓練以外においても、練習船の一般公開、海洋教室等において多くの一般市民を集め、海事思想の普及に努めている。

 また、水先人資格要件の緩和に伴い、本年4月から(財)海技振興センターの支援の下、東京海洋大学、神戸大学ならびに海技大学校において一級水先人の養成課程がスタートした。

 

7.1.2 外国人船員に対するわが国の海技資格付与制度

1)承認船員

 外国政府発給の海技士資格をわが国政府が承認するための承認試験がマニラにおいて3回行なわれ、船長による能力確認による承認証発給制度(新承認制度)による発給件数を含め、637件の承認証が発給された。(資料7-1-2参照)

 また、承認制度における承認船員の就業範囲が船機長に拡大されたことにより、本年6月、船機長に対する承認試験が初めて実施され、初年度である2007年度では、承認船員の船長52名、機関長39名が誕生した。

 

2)海上無線通信士

日本籍船に船長または航海士として乗組むために必要となる第三級海上無線通信士および第一級海上特殊無線技士資格(ともに総務省発給免許)を外国人船員に取得させるため、(財)日本無線協会がマニラにおいて養成講習を実施し、190名が第三級海上無線通信士資格を取得し、80名が第一級海上特殊無線技士資格を取得した。

 

3)船舶料理士

 SECOJは外国人船員に対するわが国の船舶料理士試験をマニラにおいて3回行い、合格者数は52名であった。

20062月、船舶料理士に関する省令の一部が改正されたことに伴い、受験者数が30名減少した。

※ 新たな資格要件として、調理業務経験(専ら調理業務に従事した者であって、ボーイやウェイターとしての経験は含まない)の期間において、業務を適切に行っていたことを二人以上の船長により証明されていなければならないことが追加された。

 

4)その他の資格

日本籍船における日本人船・機長配乗要件の撤廃を受け、外国人船員に対する初めての船舶保安管理者(SSO)講習および衛生管理者講習がマニラにおいて実施された。

SSO資格については、SOLAS条約において規定された訓練修了者を対象に海技大学校が講習を行い、初年度は123名が資格を受けた。

また、衛生管理者については、省令によって定められたわが国固有の資格であるが、STCW条約で能力基準が定められている“Medical Care”資格が船内医療を行うことができる資格であることから、同資格受有者を対象にSECOJが行ない、85名が資格を受けた。

以上をもって、承認船員の船機長を含むすべての資格付与制度が確立されたこととなり、外国人船員全乗の国際船舶の就航が制度上可能となった。