【資料3-4-2-4

 

20071121日、台北

20071126日東京で発表)

 

了解事項

アジア船主フォーラム(ASF)

シッピング・エコノミックス・レビュー委員会(SERC

20回中間会合(台北)にて採択

        

 

 

アジア船主フォーラム(ASF)シッピング・エコノミックス・レビュー委員会(SERC)第20回中間会合は、ASFメンバーであるアセアン、中国、台湾、香港、日本、韓国の各船主協会から16名の代表が出席し、20071121日に台北で開催された。出席者名簿は添付の通り。

 

1. 世界経済

本会合は、本年10月の7か国財務大臣・中央銀行総裁会議(G-7)声明で言及されているように、世界経済は力強い成長が5年目に入っていることに留意する一方、最近の数週間において、米国のサブプライムローンによる混乱を誘因とする不確実性が、−これが世界貿易にどのような影響を与えるかを判断するのは時期尚早であるものの − 世界経済に徐々に広がっていることに留意した。出席者は、現実的な市場展望に基づかない(過剰)反応を慎しみ、世界経済の動向を注意深く見守るよう要請された。

 

2. ドライバルク/タンカー部門

1) ドライバルク市況は、中国の鉄鉱石輸入の激増による荷動き量の大幅増加、豪州及びその他諸国における長期滞船による船腹需給の逼迫、市況関係者の強気な投機などを要因として、前例のないほどに高水準にあることが報告された。出席者は、限られた世界の造船能力によって当面は船腹供給の増加もみられないであろうことも考慮し、近い将来に市況に悪影響を及ぼし得る経済要因が現れる可能性は低いものと思われるとの見解で一致した。

 

2) タンカー部門については、中国の200718月の原油輸入量が前年同期比約15%増であるものの、米国国内原油生産能力の増加による同国の原油輸入の減少、原油の歴史的高騰、及びシングルハルタンカーのフェーズアウト停滞などにより、市況は弱含みで推移していることに留意した。しかしながら、出席者は、米国の在庫原油の減少、冬場の需要増、西アフリカから中国など長距離輸送需要の増加、並びに一定量のシングルハルVLCCVLOCVery Large Ore Carriers:巨大鉄鉱石船)又はFPSOFloating Production, Storage and Offloading systems:浮体式海洋石油生産貯蔵積出設備)に改造される予定であり市場からの撤退が見込まれること、等の要因に対し市況が反応する可能性があることに留意した。

 

3. 定期船部門

1) 北米太平洋トレードについては、2007年上半期における全体の貨物量が、米国の住宅市場の低迷によって住宅関連製品の荷動きは低迷したものの、日常雑貨及びその他建築関連製品の比較的堅調な荷動きにより、前年同期比約7%増加したとの報告がなされた。出席者は、消席率は90%以上の高水準にあり、船腹需給関係は2008年も引き続き均衡したものとなるだろうとの見解で一致した。

 

2) アジア域内トレードに関しては、東アジア、特に中国及び日本発着の荷動きが高水準で推移したことから、市況は力強い成長を維持したとの報告がなされた。更に、インド、パキスタン及び中東など西アジアの市況は、貨物量が約20%台の記録的な伸び率となり、拡大していることが認識された。

 

3) しかしながら出席者は、一定の運賃修復がなされてはいるものの、上記航路における定期船市況の現在の運賃水準では、特に燃料コストを始めとする劇的なコスト増を補填し、過去の投資を回収し、或いは将来必要となる投資を促進するのに不十分であるという重大な懸念を表明した。また、燃料価格及び米国内陸鉄道料金の高騰などのコスト増要因、並びに影を落とし始めた米国サブプライムローン問題への警戒が不可欠であることを再確認した。更に、迅速な改善が必要とされる米国のコンテナ取扱能力や、米国及び特にベトナム、インド等の一部のアジア諸国における港湾能力の不足など、インフラ及び港湾混雑に関する諸問題についても報告があった。これらの点に関し会合は、各顧客から求められている広範かつ効率的なサービス水準を維持するためには、アジアコンテナ船社のCEOは、強いリーダーシップ、高度な商業的判断及び綿密な経済分析をもってこれら問題に対処するよう求められていることが強調された。

 

4. 定期船海運に対する独禁法適用除外制度

中国、インド、日本、シンガポール及びEUなどにおいて、外航船社間協定に対する独禁法適用除外制度の見直しが行われていることが留意された。特に、中国では8月に独占禁止法が可決され、一方インドでは、インド競争委員会(CCI)に対し2002年競争法を施行するための法令上の権限を与える法案が採択された。会合は、独禁法適用除外制度は将来の世界貿易の拡大に対応すべく海運業界が効率的な経営を行う上で必要不可欠である、という長期に亘り確立されたSERCの立場を再確認するとともに、同制度は全ての貿易国の利益になる点を強調した。出席者は、ASFが様々な国と地域における本件の進捗状況について共通認識を共有することが極めて重要であることに合意し、SERCメンバーは、上記の国における関係者が適用除外制度の必要性を正しく理解することを支援するため、必要とされる行動をとるべきことに合意した。

 

5. その他

1) 最近米国において、同国向けの全てのコンテナについて、20127月までに外国の積出し港で放射線検出装置とエックス線検査装置を用いて100%スキャニングを実施するよう求める法案が可決された、との報告がなされた。出席者は、同法は、全てのコンテナを船積み前にスキャニングすることの実行可能性及び当該装置の入手可能性など多くの実施上の疑問を投げかけるものである、との懸念を表明した。この種の仮想上の考え方が世界のサプライチェーンマネジメントに甚大な混乱をもたらすという最悪のシナリオを避けねばならないということが強調された。

 

2) 出席者はまた、海賊、武装強盗及びWTO海運交渉など、その他の最近の課題についても意見交換を行った。

 

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アジア船主フォーラム(ASF)シッピング・エコノミックス・レビュー委員会(SERC)は、アジアの船社の首脳が海運に関連するマクロ経済的な貿易情報やその動向を検討する場である。SERCの目的は、入手可能な経済データを考察し、主要貿易問題の展望を共有することにより、経営意思決定の質を高めることである。

 

 

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*本件に関する問い合せ先:

日本船主協会 企画部 本澤/笠原(Tel03-3264-7180