資料8-2-3-2

 

平成19317

海事振興連盟

 

海事振興連盟 神戸決議 

 

海事各産業および海事教育機関が集結するここ神戸において、タウンミーティングを開催し、地域海事関連産業振興のために「海事各産業の競争力確保策」、「神戸・大阪港の振興」、「海事クラスターを中核とした地域の振興」および地域振興策のひとつである「瀬戸内海クルーズ」について議論した。

 

当連盟としては、「海事各産業の競争力確保策」については、海事各産業の活性化を図るために、

       外航海運については、トン数標準税制の実現等を通じた国際競争力の確保、

       内航海運については、船員不足に対応した人材の確保・育成の推進、内航船の代替建造促進、内航海運暫定措置事業の円滑かつ着実な実施等、

       造船関係については、人材の確保・育成、

       港運においては、神戸・大阪港の地位向上に向けた諸対策の実施、

       倉庫業においては、倉庫税制による経営基盤の強化

といった施策の推進が、極めて重要な課題であることを認識し、全力をあげてその実現に向けた支援に取り組んでいく。

 

「神戸・大阪港の振興」については、国際競争力のある港湾つくりを急ぐ必要がある。特に神戸港のコンテナ取扱量()1977年の世界第2位から2005年には第39位、大阪港では1978年の第27位から2005年には世界第51位と両港とも国際的にみて相対的地位低下が顕著になってきている。こうしたなか、わが国の港湾の復権、すなわち神戸・大阪港の国際競争力の強化を図ることが必要である。

特に、スーパー中枢港湾プロジェクトを強力に推進するとともにユーザーの利便性を踏まえ、神戸・大阪港についての一開港化をはじめとする港湾の広域連携化を推進することが喫緊の課題であり、同時に、道路網等のインフラ整備を図る必要がある。当連盟としても、関係者と協力してその施策の推進に努める。

 

 

 

「海事クラスターを中核とした地域の振興」については、神戸に基盤を有する海事産業、荷主、団体、教育機関等および行政が連携協力して、地域海事クラスターの再構築により競争力の強化を図り、「国際海事都市神戸」の再生に取り組む。

特に、神戸が目指す知識集約型海事クラスターにおいては、海事産業にイノベーションの方向を示すとともに、海事産業が必要とする人材の教育・訓練を受け持つ大学・高等専門教育機関が重要な役割を担うこととなる。

したがって、神戸海事クラスターの再構築に関する活動においては、地域の大学・専門教育機関による海事産業のニーズに応じた海事関係高等・専門教育の実施と人材供給の推進を最重要課題として取り組むこととする。

また、海事産業の人材不足の解消や海事産業の競争力強化の重要性にかんがみ、これらの取組みについて、関係者あげて、海事都市の振興策とも連携しながら、国の強力なバックアップも受けつつ取り組んでいくことが重要である。

当連盟としても、このような取り組みの推進に関する活動を強化していく。

 

国際海事都市神戸の再生のために創立の準備を進める神戸海事クラスターは、 地域の海事関連産業の振興あるいは海事思想の普及や海への関心の醸成に止まらず、世界の海事センターとしての日本の地位を確立する重要なステップと認識し、当連盟としても小委員会を設け検討を行い、必要な施策の推進につとめる。

 

さらに近年の国民の海離れの状況に鑑みれば、海事活動とこれを支える海事産業の重要性が国民に浸透するためには、世代を問わず広く国民が海に親しむ機会を増加させることが重要であり、それを促進する具体的な活動を強化する必要がある。

その点では、自然と歴史文化に恵まれた瀬戸内海を活用したクルーズの振興など神戸港と連携した観光と客船事業を振興することにより、国民に船旅による海の楽しさを提供するとともに、世界に対し、瀬戸内海および神戸・大阪の知名度をアピールし、新規観光需要の開拓による地域経済の振興をはかること等も有力な方策である。当連盟としては、このような活動に対し必要な協力を惜しまない。

 

以上、決議する。

 

※神戸港・大阪港のコンテナ取扱量は、英国の海事専門誌コンテナリゼーションインターナショナルによる。