2.環境対策
2・1 大気汚染防止対策
(1)経緯
現在、船舶の排ガスに起因する大気汚染の防止については、海洋汚染防止条約(MARPOL条約)附属書VIにおいて、窒素化合物(NOx)および硫黄化合物(SOx)等に関する規定が定められている。同附属書VIは2005年5月に発効したが、同年7月に開催された国際海事機関(IMO)第53回海洋環境保護委員会(MEPC53)において、一層の環境負荷軽減の必要性が認識されたことから、現行の規制を強化する方向で、同附属書を改正することが合意された。
なお、通常であれば、MARPOL条約関連規則の改正作業はMEPCで設置される作業部会(Working Group:WG)において行なわれるが、同委員会の大気汚染防止に関するWGは、すでに多くの検討事項があったことから、ばら積み液体・ガス小委員会(BLG)において作業が進められた。
同改正に関する具体的な作業は、2006年4月に開催されたBLG10から開始され、第1回中間会合、BLG11、第2回中間会合およびBLG12における技術的検討を経て、2008年4月に開催されたMEPC57において附属書VIの改正案が承認された(船協海運年報2007 2・1参照)。その後、2008年10月に開催されたMEPC58において、同案はほぼ原案どおり採択され、2010年7月1日に改正附属書VIとして発効することが決定した。同会合の審議結果は以下のとおりである。
(2)MEPC58(2008年10月)における審議結果について
MEPC57において承認された改正案の発効日は、当初、2010年3月1日となっていた。これに対し、わが国は、改正附属書VIに付属するいくつかの指針がまだ策定されていないことから、これら指針をBLG14(2010年2月)で最終化し、MEPC60(2010年3月)にて採択した後に改正附属書VIが発効するよう、当該発効日を2010年3月1日から2010年7月1日に延期するようMEPC58に提案した。
MEPC58では、同改正案の採択について審議され、発効日についてはわが国の提案が合意された。なお、同会合で採択された改正附属書VIの概要は以下のとおりである。
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今後のNOx規制の概略
A 今後のSOx規制の概略