3・5 各国の海運政策

 

351 EU

(1) 2018年までのEU海運戦略

近年EUおよび同加盟国の諸規則・政策が海運業界に与える影響は拡大しつつあり、また、2005(平成17)年以降、欧州委員会ではEUの今後の海事政策全般について包括的な検討が行われてきたが、2007(平成19)年10月に発表されたEU海事統合政策(ブルーペーパー)を受け、2009(平成21)年1月に2018年までのEU海運戦略*が公表された。

*正式名称:Strategic goals and recommendations for the EU’s maritime transport policy until 2018

 

欧州委員会(EC)記者発表資料によると、同戦略の目的は、安全、クリーンで効率的な海運の促進にあり、また、同戦略の中核にあるのは、世界市場における欧州海運の長期的な競争力、ならびに海上輸送システムの21世紀の課題への適応、としている。また、ECは、同戦略において、欧州海運のグローバルな特性を認識し、あらゆる分野、特に、欧州海運の国際競争上の地位、安全と環境、ならびに高品質な海事専門技術の必要性について同特性を考慮するとしている。

欧州船主協会(ECSA)は同戦略を概して健全な基盤をなすものとして歓迎。同戦略は、欧州海運サービスを世界および欧州トレードにおいて主要な役割を果たすとし、また、同戦略の作成過程においては、EU加盟国および海運専門課とのハイレベル協議が実施され、その結果、バランスのとれた戦略になったと評している。

 

EU海運戦略:目次≫

**同戦略は、以下のURLより入手可能。http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=MEMO/09/16&format=HTML

 

1. 序章

2. グローバル化市場における欧州海運

3. 人的資源、船舶操縦術および海事専門技術

4. 競争上の優位性としてのクオリティシッピング

 4.1 環境パフォーマンスの改善

 4.2 海上輸送の安全性

 4.3 海上輸送のセキュリティ

 4.4 海上の監視

 4.5 EUエネルギー・セキュリティの主要素としての海運

5. 国際場裡における共同作業

6. 欧州の企業と市民のための近海および海上輸送サービスの全潜在能力の有効活用

7. 海事リサーチおよびイノベーションにおける世界のリーダーたるべき欧州

8. 結論