5・4 輸出入・港湾諸手続の簡素化について
5・4・1 貿易手続の改革
1. 貿易手続改革プログラム
2007年2月、アジアゲートウェイ戦略会議の検討組織「物流(貿易関係手続等)に関する検討会」が官邸に設置され、次世代シングルウィンドウの見直し、日本版AEOの構築、規制の見直し、手続の統一化・簡素化等をテーマに具体的な方策の策定について官民での検討が行われた結果、同年5月に「貿易手続改革プログラム」が取り纏められた。なお、同プログラムは3年間に渡り毎年改定を行うこととされた。
同検討会で当協会は、全ての輸出入・港湾諸手続きを統合し、標準化された情報を1回、1箇所に入力/送信するだけで、港湾管理者(地方自治体)を含め全ての手続きが完了する真のワンストップサービス=シングルウィンドウの実現を求めた。
その後、プログラムのテーマ別に関係省庁で官民の協議会が立ち上がり、港湾手続きについては、国交省港湾局の下に「港湾手続の統一化・簡素化に関する官民合同検討会」が設置されるなど、個別具体的な取組みについて検討が行われている。
2008年8月には各協議会での検討を踏まえた「貿易手続改革プログラム改訂版」が「貿易手続改革プログラムフォローアップ会合」で承認された。
2. 港湾手続の統一化・簡素化
国交省は貿易手続改革プログラムにおける港湾手続の統一化・簡素化の実施に向け、港湾管理者に係る港湾手続の統一モデルを作成し、2008年8月に全国の港湾管理者宛てにモデルの採用を依頼する通知を行った。その後、港湾局から全国の港湾管理者に対する精力的な働きかけもあり、同年12月に採用状況の調査を行った結果、東京港および横浜港をはじめ統一書式の採用を決定または予定する港湾管理者が約2/3に達した。
当協会では引き続き、採用未定の港湾管理者への働きかけ、および次世代シングルウィンドウへの一元化を着実に進めるよう港湾局へ働きかけている。
5・4・2
IMO FAL委員会への対応
FAL条約は、国際海上交通の円滑化のため国際航海に従事する船舶の入出港時における手続や書類の簡素化等を図ることを目的としたIMOの条約であり、1967年に発効し日本は2005年9月に批准している。IMO
FAL(簡易化)委員会では、条約の改正や国際海上交通の更なる簡易化について議論しているが、米国同時多発テロ以降は、セキュリティの確保と入出港手続の簡易化の両立といった問題にも焦点があてられている。
なお、FAL委員会の審議に対応するため、わが国では、FAL条約附属書7.12 勧告規定に基づき、外務省をはじめ関係省庁と民間で構成する「FAL条約に関する官民連絡会議」が設置されている。
1.IMO第35回FAL委員会
IMO第35回FAL委員会が2008年1月12日から16日までの間、ロンドンで開催された。なお、FAL委員会はこれまでIMO理事会の附属機関であったが、IMO条約の改正が2008年12月7日に効力を生じたことに伴い正式委員会となった。
主な議題の審議については以下の通り。
(1) 船舶の入出港手続のための電子的方法
セキュリティ関連情報をFALフォーム1の添付書類として追加するとした米国提案について、本件に関するコレスポンデンスグループの委任事項を逸脱するものであり前回会合でも不要との結論が出ていることから提案は却下された。
(2) 船舶に所持すべき証書の電子化
第33回FAL委員会(2005年)でICSが、船舶に備え付けることが義務付けられる多くの証書・書類を極力電子データ化することで事業者のみならず検査当局の負担軽減を図ることを提案し、コレスポンデンスグループで検討されている。
本件については長期的課題であり、まずは対象となる証書を明確にするためにICSが示した証書リストも基にIMOの関係委員会に対して照会することになった。また、短期的な対策も含め引き続きコレスポンデンスグループで検討を行うこととなった。
5・4・3 ACL業務(船積確認事項登録業務)利用率の促進
当協会は、従前より外国船舶協会をはじめ関係業界団体、および通関情報処理センターと協力して、積荷目録情報のベースとなるSea-NACCSが提供している船積確認事項登録業務(ACL業務)の利用促進のための活動を行っている。
こうした活動の結果、ACL利用率は以下の通りとなった。(昨年同月に比べ、邦船全体で29.7%、外船全体で23.3%、邦外船全体で23.3%、それぞれ利用率が上がった)
2008年4月港別EDI化率
|
仙台 |
東京 |
横浜 |
清水 |
御前崎 |
名古屋 |
四日市 |
大阪 |
神戸 |
門司 |
博多 |
その他 |
全国 |
邦船 全体 |
69.7% |
68.9% |
37.5% |
68.6% |
98.4% |
85.5% |
97.3% |
37.7% |
59.5% |
36.8% |
30.5% |
0.0% |
65.0% |
外船 全体 |
61.6% |
49.2% |
35.2% |
67.6% |
100% |
87.8% |
93.3% |
35.4% |
48.4% |
31.2% |
26.8% |
45.1% |
51.9% |
邦外船全体 |
63.6% |
53.8% |
35.7% |
67.9% |
98.9% |
87.3% |
94.9% |
36.0% |
50.9% |
32.8% |
28.1% |
33.9% |
54.6% |
注) 邦船3社、外船12社で集計平均化した数値。