6.海上安全対策

 

6・1 ソマリア沖・アデン湾における海賊問題

 

近年、ソマリア沖・アデン湾においては、重火器で武装し、船舶をハイジャックし身代金を要求する海賊事件が頻発しており、2008年には前年比約158%増となる111件の海賊事件が発生し、うち42隻がハイジャックされる被害を受けた。

国連安全保障理事会は、同海域の安全確保等のため、外国艦船のソマリア領海内への侵入を求めることや、関係各国に艦船派遣を要請するなどを盛り込んだ海賊対処の決議を採択した。これに基づき、現在多くの国が同海域に艦船を派遣しており、20093月時点で、有志連合軍の任務部隊(CTF151)やEU軍をはじめ、25カ国39隻の艦船が派遣されている。

当協会は、同海域において我が国関係船舶が海賊による銃撃を受けたことから、20084月アデン湾における航行安全の確保について国土交通大臣に要望書を提出した。その後も凶悪な海賊事件が頻発することに鑑み、200810月国土交通大臣に効果的かつ具体的な対策をとるよう再度要望書を提出した。政府内で行われた検討の結果、海上保安庁では対応できないこと、現行法制下でも海上自衛艦の派遣は可能とのことから、20091月内閣総理大臣および防衛大臣に海上自衛艦の即時派遣に関する要望書を提出する等、積極的に働きかけを行った。

我が国政府与党は、海賊対策プロジェクトチームを設立して検討した結果、313日防衛大臣は自衛隊法第82条に基づく海上警備行動を発令し、翌14日には海賊対処のため海上自衛隊の護衛艦2隻が本邦を出港、330日よりアデン湾における商船の護衛活動が開始された。