7・5 外航日本人船員(海技者)確保・育成スキーム

 

1)概要

外航日本人船員(海技者)確保・育成スキーム(以下「スキーム」)は、国土交通省、全日本海員組合および当協会で構成する「外航日本人船員確保・育成推進協議会」(以下「推進協議会」)が運営し、日本船員福利雇用促進センター(SECOJ)が実施団体となっている。(スキームの成立経緯については船協海運年報2006参照)また、スキームは、船員教育機関の卒業生を対象に、実際に海運会社が運航する外航商船での実務経験を通じて、即戦力として活躍できる海技者としてのキャリア形成を図ることを目的としている。育成期間は、最長5年とし、導入研修1年とその後の乗船育成期間で構成される。導入研修では、海技大学校での座学講習(前期2ヶ月・後期3ヶ月、計5ヶ月)と前期・後期座学の間に実施される乗船研修(7ヶ月)が行われ、育成要員はこの間、外航船舶職員の実務に必要な基礎知識を習得する。また、乗船研修では、育成要員は研修生として外航商船に乗船し、この間に行われる評価を元に、推進協議会の下に設置した進路指導委員会(=国交省、全日海、SECOJ、当協会で構成)において2年目以降に船舶職員として実職が執れるか考課が行われる。乗船育成期間では、同考課を経て、3等/2等航海士・機関士として外航商船に乗り組み、実務経験を積んで外航船舶職員としての就職を目指すこととしている。(スキームの育成スケジュール:資料7-5-2

 

2)育成要員の現状

1期生については、200710月より11名(航海士9名(うち女性1名)、機関士2名)がスキームを開始した。この11名のうち、2008年末までに3名(全て航海士。うち女性1名)が外航船社への就職を果たした。また、2名(航海/機関士各1名)が内航船社に就職し、2名(航海/機関士各1名)が陸上企業への進路変更を行った。残りの4名(全て航海士)については、スキームの2年目に移行することとなった。

2期生については、17名(航海士15名(うち女性4名)、機関士2名)が200810月より海大での前期座学研修を開始、12月から20096月末までわが国外航船社が運航する船舶で乗船研修を行うこととしている。この乗船研修を行うにあたり配乗船の募集を行ったところ、当協会加盟12社、同非加盟5社より応募があった。乗船研修中は、これらの船舶において、3等航海士/機関士として必要な基礎知識の習得が求められるとともに、2年目以降、船舶職員としての実職を執ることができるかについて評価が行われる。