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海運雑学ゼミナール
005 タービンの出現ではじまった蒸気船スピード狂時代
 英国人ジェームス・ワットが蒸気機関の実用化に成功したのは1765年のこと。しかしこれが船の動力として利用されたのは、それから42年後の1807年、米人フルトンが実用的汽船クラーモント号を建造したのに始まる。機関車の登場は、それより7年後。交通機関への応用では船が一歩先んじたというわけである。
 初期の汽船はほとんどが外輪船だったが、やがてスクリュー・プロペラによる船が出現する。1845年に英国海軍が行った同馬力の外輪船とプロペラ船に綱引きさせるという、やや乱暴な実験ではスクリュー船が勝ち、これを契機に外輪船の時代は終わりを告げた。
 蒸気エンジン自体も、20世紀に入って、初期のレシプロ(ピストンによる往復機関)から、タービンの全盛時代を迎える。蒸気を金属製の翼に吹きつけて、翼の中心軸を回転させるこの方式の出現で、これまで12〜13ノットがせいぜいだった商船の速力は、一気に20ノット台にまで達した。1907年以来20年間自己の記録を更新し続けたモレタニア、30ノットを出したクイーン・メリーなど、ブルーリボンのトロフィーを賭けて大西洋横断のスピード記録に挑戦する高速客船が次々出現したのもこの頃だ。
 最後のブルーリボンの記録ホルダーとなったのは、1952年に竣工した米船ユナイテッドステーツ。3日と10時間40分で大西洋を横断した。その記録は1990年6月のホーバースピード・グレート・ブリテンまで38年間破られなかった。
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