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海運雑学ゼミナール
016 前進、後進自由自在―
コントローラブル・ピッチプロペラの秘密
 自動車の運転でバックや減速をしたいときは、クラッチを踏みその目的にあったギアに切り替える。ところが船には、クラッチやギアに相当するものがない。このためタンカーなど大型の貨物船は、接岸・離岸時などのデリケートな操船では、自らのエンジンの発停を繰りかえすとともにタグボートの力に頼らざるを得ない。ところが10万重量トン以下の中型船には、前進、後進、減速などが簡単にできるものもある。ではどのように行うのだろうか。その秘密は推進装置であるスクリュー・プロペラそれ自体にある。
 そうした船に採用されているスクリュー・プロペラは、コントローラブル・ピッチプロペラ(可変ピッチプロペラ:CPP)と呼ばれるもので、回転中にプロペラの羽の角度(ピッチ)が自由に変えられるようになっている。このためエンジンの回転は一定のままで、羽の向きを反転させれば前進、後進を切り替えることができ、また垂直にすれば推進力をゼロの状態にすることもできるわけだ。
 羽の角度はブリッジのレバーひとつで微妙に替えることができ、これにより微速で前進、停止、後進を繰り返すというようなデリケートな操船も可能になる。現代の技術が可能にしたより安全な航行のためのユニークな知恵のひとつといえよう。
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