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海運雑学ゼミナール
017 トンはトンでも中身はさまざま
 船の大きさは通常「トン」で表される。しかし同じトンといっても使う目的によって何種類かあり、その意味もさまざまだ。
 まず「載荷重量トン」(デッドウェイト)。これは文字通りこれ以上積んだら危険ですよという積荷重量の上限を示すもので、満載喫水線の限度まで貨物を積んだときの排水量から空船時の排水量を差引いた数値で積める貨物重量の目安となる。積荷の重量が重要な要素になる貨物船では一般にこの重量トンが用いられる。
 「総トン」(グロス・トン)は、客船のように積荷の重量よりも容積が重視される船の大きさを示すのに用いられ、船の容積に係数を乗じて得られた数値。そこからさらに機関室、船員室、バラストタンクなどを除き、純粋にキャビン(船室)や貨物の輸送に供される容積を示したものが「純トン」(ネット・トン)で、こちらは主に税金徴収の基準として用いられ、一般にあまり使われない。
 また「排水トン」は主に軍用艦船に用いられる単位で、船の水中部分の容積をその排除した分の水の重さで示すもの。実質的には船の重量そのものを表す。ほかに運河の通航料算定に使われるスエズ・トン、パナマ・トンといった単位もある。
 したがって載荷重量トンで示された貨物船と総トンで示された客船の大きさを単純にトン数で比較してもまったく無意味なわけで、このへんが船の世界のややこしいところ。船のトン数が話題になったとき、それがどのトン数なのかお互いわかっていないと、トンだ話の行き違いになることもあるから要注意。
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