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海運雑学ゼミナール
019 自動車専用船:秒単位、センチ刻みの「車庫入れテクニック」
 製品を運ぶ船のなかでもユニークな存在のひとつが自動車専用船(PCC)だ。外観は巨大な鋼鉄のビル。大きいもので12〜13層の甲板をもつ船体の内部は、まさに高層駐車場そのものだ。しかし最も特徴的なのは、1台ずつ専門のドライバーが運転して行うその荷役。通常、ドライバー10名に車を固定するラッシャー8名などを加えた「ギャング」と呼ばれるチームを1単位として行われ、1ギャングで1日600〜700台を積み込む。
 船腹の開口部から滑り込んだ車は、狭い傾斜路を駆け抜け、前後30センチ、左右10センチ間隔の積付け位置に、正確に、しかも秒単位の早技で次々に停車する。そのテクニックと集中力はまさにプロならではのものだ。
 バックでの位置決めとハンドル側からの乗り降りも積み付けの鉄則である。これは、日本ほど熟練していない外地の作業員が、陸揚げ時に、積み込まれた順にハンドル側から乗り込み、前進動作だけで作業できるように考えたもの。このため日本のPCCで運ばれた車のダメージ率は世界でもまれにみる低水準にある。
 日本人の国民性ともいえる細やかな心配りと優秀な技術によって、世界の信頼を獲得した日本車。その輸送面でのこうしたきめ細かな配慮もまた、その信頼性の維持にひと役かっているといえよう。
自動車専用船
▲一度に5千台以上もの自動車を運ぶことができる自動車専用船
自動車専用船船内
▲左右10cm間隔で積み付けされている自動車
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