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海運雑学ゼミナール
029 日本の船名につく「丸」の由来
 日本の船名にはなぜか「丸」のつくものが多い。日本人はさほど不思議とは感じないのだが、外国人にその理由を問われて、「はて?」と答えに窮した経験を持つ人も多いはず。歴史的にみると10世紀ころからすでに「丸」のつく船名はひんぱんに使われており、その起源は相当古いもののようだ。
 語源の説明としていちばん代表的なものが「麿(まろ)」の転化だとする説。もともと自分のことを「麿」といっていたのが、のちに、「柿本人麿」のように敬愛の意味で人につけられるようになり、それがさらに愛犬や刀など広く愛するものにも転用された。その「麿」がやがて「丸」に転じ、船にもつけられるようになったというものだ。
 もうひとつは、本丸、一の丸などといった城の構造物を呼ぶときの「丸」からとられたという説。つまり船を城に見立てたというわけだ。
 このほかにも諸説があり、いずれも決定的とはいいがたい。ところで明治期に制定された船舶法取扱手続きに、「船舶ノ名称ニハ成ルベク其ノ末尾ニ丸ノ字ヲ附セシムベシ」という項がある。語源の説明とはいいがたいが、これが明治以降の日本商船の船名に「丸」がつく大きな理由になったということはできよう。
 しかし最近は片仮名や平仮名の「丸」無しの商船も多くなった。考えてみれば「丸」をつけなくても特に不自由はない。人名や犬の名前に「丸」をつける習慣はとうに無くなっているえわけで、同様に船名から丸の字が消えてゆくのも時代の流れなのかもしれない。
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