日本船主協会

トップページ海運雑学ゼミナール

海運雑学ゼミナール
035 「木片」から始まった船のスピードメーター
 船の速力や航程を計測する装置のことを「ログ(測程儀)」という。ログとは「木片」の意味で、昔、海面に木片を投入し、それが船側を通過する時間を計って速力や航程を計算したときの名残りだ。
 ログにはさまざまな種類があり、原始的なものでは、上記の方法そのものであるダッチマンズログや木片に紐をつけて海面に流し、一定時間に流れ出た紐の長さで計測するハンドログがある。
 時代を追って現れたより洗練された方式には、水流で回わる回転子を曳航し、その回転数で速力を知るパテントログ、船底から突き出した管の開口部に加わる水圧で速力を計るサルログ、電磁石で磁界を作り、そこを通る水流の速さに比例して起こる誘起電圧から速力を知る電磁ログがある。
 しかしいずれも計測するのは対水速力。相手が海流のある海では「時速いくらで何時間走ったから今どのあたり」といった計算には当然狂いが生じる。最新式のドップラーログは、海底に向けて発射した強音波の反射波の周波数変化から速力を割り出すため正確な対地速力が計れるが、こちらも水深百数十メートルまでが限界。となると船は大洋上では速力をもとに厳密な航行距離や現在位置を知ることは不可能。通常はロランやデッカなどの地上局やGPSなど人工衛星からの電波をもとに船の位置や航行距離を計算している。
 とはいえエレクトロニクスを使った最新式の測程儀まで、いまだに「ログ」と呼ぶあたり、いかにも伝統を重んじる海運らしいところだ。
前のページへ海運雑学ゼミナールタイトル一覧へ次のページへ