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海運雑学ゼミナール
036 膨大なノウハウに裏付けられたケミカルタンカーの多品種・少量輸送
 タンカーといえば、一般には巨大な船体に大量の原油を一挙に飲み込んで、遠い産油国と日本の間を行き来する長距離大量輸送の代表選手というイメージがある。しかしケミカルタンカーは、同じタンカーでも、まさに原油タンカーとは好対照といえるデリケートな存在だ。多いもので数十におよぶコーティングされたタンクをもち、それぞれが独立した荷役用のパイプラインやポンプを備え、付加価値の高い液状化学製品の多品種・少量輸送に本領を発揮する。
 ケミカルタンカーによって輸送される貨物は、数百種類にのぼる石油化学製品を中心に、動植物油、魚油、糖蜜、塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸まできわめて広範囲。しかもその多くが可燃性、毒性、反応性等をもつ危険物質だ。その安全輸送には、化学品のそれぞれの特性に関する膨大なノウハウが必要となる。
 例えば貨物とタンクのコーティング材の不適合は貨物の汚染やコーティング自体の腐食の原因になる。混ざり合ったとき激しい反応を引き起こす貨物同士を隣り合わせに積むことも危険だ。前回の貨物と新しく積む貨物との相性も、万一の貨物の汚染を考えれば重要なチェックポイントとなる。
 繊維製品やプラスチック、塗料、洗剤、接着剤など、現代の暮らしに今やなくてはならないものとなった化学製品。ケミカルタンカーはその中間原料から最終製品までを、細心の心配りで安全に確実に運びながら、私たちの快適な暮らしを今日も支え続けている。
ケミカルタンカー
(燐酸、硫酸など液状の化学品を運ぶケミカルタンカー)
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