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海運雑学ゼミナール
042 モジュール船の荷役を支える、コンピューター制御のスーパームカデ
 海面からわずか3メートルほどの広く平坦な上甲板に、ブリッジの数倍もの高さでそそりたつ巨大な積載物。ほとんど工場そのものにみえるこの貨物は、「モジュール」と呼ばれる発電プラントや海水淡水化プラントの分割された一部。モジュール船は、このモジュールを運ぶための専用船だ。
 自前の荷役装置を持たないRO/RO(ロールオン・ロールオフ)方式のため、荷役はユニットドーリーと呼ばれる自走式の荷役装置で行われる。自走可能な台車を、貨物の大きさや重量、重心位置に合わせて縦横に複数連結して用いるもので、連結と同時に全車両が連動し、何十両連結しても運転手は一人で済む。まるでコンピュータ制御のムカデといったところ。まず陸上で、モジュールの下にこのユニットドーリーが滑り込み、ジャッキアップして貨物を支えながら甲板上に自走し、所定の位置で貨物を降ろして、陸上に戻るという方法で行われる。
 このスーパー・ムカデの苦手は傾斜だ。このためモジュール船は船底から喫水線まで4〜6メートルの高さしかない超浅喫水幅広型(USDV)という特殊な形状をもち、荷役時には、バラスト水を注入して岸壁と上甲板が同じ高さになるまで船体を沈め、ユニットドーリーの水平移動を可能にしている。
 外地でのプラント建設は、天候等の条件によって工程が左右されやすい。しかしプラントを国内で完成させ、あとは据え付けるだけにすれば、確実な工程と、プラントの精度が保証される。こうしてモジュール船によって運ばれたさまざまなプラントは、開発途上地域の人々に水や電力を供給し、暮らしや経済の発展を支える原動力として、今日も世界のさまざまな国で活躍している。
モジュール船
(科学プラントなどの超重量貨物を運ぶモジュール船)
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