日本船主協会

トップページ海運雑学ゼミナール

海運雑学ゼミナール
043 「デリック」の由来は死刑執行人の名前から
 貨物船の荷役装置の代表的なものにデリックがある。ポスト(支柱)とブーム(ポストの下部に支点を持ち、自由に動かせる腕状の部分)によって構成され、本体自体はクレーンのように動力装置を持たず、ブームの上下や旋回、貨物のつり上げは、甲板上のウインチと結ばれたロープの伸縮によって行われるのが特徴で、その発明は17世紀ごろまでにさかのぼる。
 そのシンプルな構造による応用の柔軟性がデリックの持ち味で、ブーム先端から左右に伸びたロープ(ガイ)を交互に伸縮させてブームを旋回させるガイ巻き、2基のデリックを用いて、固定した2本のブームの間で貨物を移動するケンカ巻き、やはり2基のデリックを用い、固定した一方のブームに分銅を取り付け、その重さでもう一方のブームを旋回させる分銅巻きなど、デリック荷役ならではの数々の妙技がある。
 ところで縁起の悪い話で申しわけないが、この「デリック」という呼び名、じつは17世紀の英国の死刑執行人、ゴドフリー・デリック(Godfrey Derrick)氏の名前からきているといわれる。エセックス伯をはじめ数々の大物の死刑を執行した彼の名はきわめて著名で、当時の人々は絞首台のことまでデリックと呼ぶようになった。そして、彼の死後まもなく発明された新型の揚貨装置の形が当時の絞首台にそっくりだったので、それもそのままデリックと呼ばれるようになったというわけだ。
前のページへ海運雑学ゼミナールタイトル一覧へ次のページへ