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海運雑学ゼミナール
047 便宜置籍の本当の狙いは節税よりも船員費対策
 船にも人間と同じように国籍があり、登録した国の法律によって制約と保護を受ける。しかし、その内容は国によってまちまち。そこで、より有利な条件を持つ国に便宜的に船籍を移す動きが、戦後、世界の海運国で活発になった。これが便宜置籍で、このような登録ができる国を便宜置籍国といい、リベリア、パナマなどはその代表的な例だ。
 便宜置籍の狙いは最初は主に税金対策だった。これらの国々がもともと便宜置籍船に対してさまざまな優遇税制を実施していたためで、こうした事情は今も変わらないが、その他の理由としては、船員費コストの削減などがある。
 日本を含め、ほとんどの先進海運国では、自国の船には、原則的に自国人や自国が承認する海技免状等を持った船員の乗船を義務づけている。しかし先進諸国の船員は賃金も高く、より低賃金の発展途上国海運との価格競争では不利。一方、便宜置籍国では、こうした国籍要件等に関する規制が緩やかで、賃金の安い外国人船員を乗せることができるわけだ。
 1970年代に入って、こうした狙いによる便宜置籍が活発になり、現在ではわが国をはじめ多くの先進海運国が、自国籍船と便宜置籍船を組み合わせて自国商船隊を構成するようになった。海運会社にしてみれば、自社船は自国籍で運航したいのはやまやまだが、国際単一市場の中で厳しい競争を強いられている現状では、便宜置籍はサバイバルのためのには、やむを得ない手段となっている。
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