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海運雑学ゼミナール
049 「プリムソルマーク」が示す季節、水域ごとの満載喫水線
 船舶には、これ以上貨物を積むと復原性が悪くなり、航海する上で危険な状態になるという限界がある。それを誰の目にも分かるように表示したのが「満載喫水線標識」。別名「プリムソルマーク」と呼ばれるもので、貨物船の船体中央部の舷側に描かれた中心を1本の線が横切る輪と、その横に刻まれた目盛状のマークがそれだ。
 輪の部分の左右に記されたアルファベット2文字は、日本海事協会(NK)など検査を行った機関のイニシャル。さらに目盛の部分に付されたアルファベット記号は、上から順にTF=熱帯淡水、F=夏期淡水、T=熱帯、S=夏期、W=冬期、WNA=冬期北大西洋を意味する。
 それぞれが、海域や季節ごとの気象・海象によって区分された船舶満載喫水線用帯域図という世界地図上の各ゾーンに対応しており、たとえば波の穏やかな熱帯域を航海する場合は、荒れやすい冬期帯域や冬期北大西洋帯域を航海するよりも上の喫水線が用いられ、よりたくさんの貨物が積めることになる。つまり船舶の満載喫水線は、季節や水域によって異なるわけだ。
 このマークが生まれたのは19世紀後半の英国。当時は、船舶の積載量に関する安全基準がなく、貨物の積み過ぎによる海難がたびたび発生した。当時の海運先進国英国の議会は、これを重くみて、1876年国際航路に就航するすべての船に、貨物積載の限界を示す標識を表示することを義務づけた。この法案の起草者が、英国の政治家サミュエル・プリムソル(Samuel Plimsoll)で、その名前を冠してこの表示マークをプリムソルマークと呼ぶようになった。
 やがてこのマークの意義は、世界の国々にも認められるようになり、現在では、全世界共通の標識としてあらゆる船舶に用いられている。
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