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海運雑学ゼミナール
052 タンカーの安全を守る船内ボイラーの排気ガス
 タンカーのカーゴタンクの内部では、積荷である原油などに含まれる揮発度の高い成分が絶えずガスとなって蒸発している。こうして生じたガスは極めて可燃性が高く、静電気による火花などで容易に着火し、大規模な爆発に結びつく危険性がある。
 ところがタンク内の酸素濃度が一定以下の場合、そこに可燃性ガスが含まれていても着火や爆発の起こる可能性は極めて低い。そこで、こうした事故を防ぐため考えられたのが、人工的に作られた不燃性ガスをタンクに注入して、内部の酸素濃度をつねに低いレベルに保つという方法だ。
 このガスはイナートガス(不活性ガス)と呼ばれ、窒素78%、二酸化炭素14%、酸素2〜4%という組成。タンカーでは、バラスト航海中や荷役時を含むほとんどの期間、タンク内部の空きスペースにこれを注入し、内部の酸素濃度を国際的に安全と認められている8%以下に保っている。
 イナートガスは、一般にタンカーの船内ボイラーの排気ガスを洗浄、冷却してつくられる。これをつくるための装置が、イナートガス装置(IGS)で、原油タンカーやプロダクトタンカーには不可欠の装備となっている。
 陸上では大気汚染の元凶として評判の悪い排気ガス。しかし海の上では、エネルギーの安全輸送になくてはならない頼もしい味方というわけだ
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