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海運雑学ゼミナール
056 潜水艦は、水上よりも水中の方が速い
 船の前進を妨げる最大の抵抗が、自らがつくる波による造波抵抗。したがって船首形状を工夫して波が起きにくいようにすれば、同じ馬力でよりスピードを上げることができるはず。そんな考えから現代のほとんどの船に採用されているのがバルバスバウ(球状船首)だ。
 しかし、波をつくらなければいいという考えをさらに押し進めれば、船全体を海中に没してしまうのが理想ということになる。そうなれば、海中では波は起こらないから造波抵抗はもちろんゼロ。つまりもっとも有利なのは潜水艦ということになる。
 事実、長時間の連続潜航が可能になった現代の軍用潜水艦は、潜航時の性能をより重視するようになったため、水上よりも水中の方が、はるかにスピードが出るようになっている。しかも水上のように波浪やうねりへの対応も考えなくてよいため、もっとも摩擦抵抗の少ない涙滴(テアドロップ)型の船型にすることができ、この点もスピードアップの大きな要因となる。
 こう考えると、未来の貨物船の一つのタイプとして、潜水型貨物船というアイデアも浮かんでくる。大きな船体にかかってくる巨大な水圧に耐えるための船殻材料や構造、長時間の潜航を可能にする新しい推進システムなど克服すべき課題は多いが、造波抵抗ゼロによって実現する低コストの効率輸送というメリットを考えれば、あながち荒唐無稽な夢ともいえないかもしれない。
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