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海運雑学ゼミナール
064 水深の浅いマラッカ・シンガポール海峡はULCC通航禁止
 世界最大クラスとなると50万重量トンを超え、巨大船の代名詞ともなっている原油タンカー。現代の造船技術からいえば、記録更新はまだまだ可能だが、現在、主流となっているのは30万重量トンクラスのVLCC(Very Large Crude Carrier)で、30万重量トンを超すULCC(Ultra Large Crude Carrier)の建造は、最近ほとんど行われなくなった。
 これにはもちろんタンカー市場の動向などさまざまな要因があるが、その理由の一つに、港湾や水路の水深の問題がある。30万重量トン以上の巨大船が入港できる港湾や水路は世界でも限られているからだ。
 とくにわが国にとって問題となるのが、ペルシャ湾と日本を結ぶオイルロードの要衝、“マラッカ・シンガポール海峡”。その重要度から、わが国も安全航行を確保するために航行援助設備の設置などさまざまな援助を行っている水域だが、水深が浅く、原油を満載した30万重量トン以上のタンカーは通れない。そこでULCCクラスのタンカーは、2日以上余分の日数をかけてインドネシア領ジャワ島の東にあるロンボク海峡を通ってくることになる。こうしたことから30万重量トンクラスのVLCCが、輸送効率と運航効率の両面からみて、現在、もっともバランスのいい船型ということになる。
 技術的にはまだまだ大型化が可能だとしても、それによって通航できる水路がより限定されてしまっては、あまり意味がない。輸送の効率化を求めて大型化の一途をたどってきた船の世界だが、ある限度を超えると、必ずしも「大は小を兼ねる」というわけにはいかなくなるようだ。
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