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海運雑学ゼミナール
065 WSフラットレートはタンカー運賃決定の魔法の物差し
 時々刻々変化する市場動向をにらみながら行われる原油取引では、タンカーが航海中に積地や揚地が決まるといったケースがきわめて多い。では最終的にどこへいくかわからないような状態でなぜ運賃が決定できるのだろうか。その秘密がワールドスケール(WS/Worldwide Tanker Nominal Freight Scale)と呼ばれる国際的なタンカー運賃指標だ。
 そこには想定可能なあらゆる積地・揚地間の標準船(7万5,000重量トンに設定され、平均速力、航海中の燃料消費、燃料油のグレードとその価格、停泊時間、港費などの条件がすべて定められたモデル船)による往復1航海の基準運賃が記載されている。
 これがWSフラットレート(WSレート100%の意味)と呼ばれる数値で、例えばラスタヌラ(サウジアラビア)〜千葉間のWSフラットレートが10.64ドルだとすると、運賃率をWS60で成約した場合、実際の運賃(貨物1トンあたり)は、その60%で6.384ドルということになる。その後、積地がアマディ(クウェート)に変更になった場合は、アマディ〜千葉間のWSフラットレート10.92ドルを適用し、その60%の6.552ドルが運賃となる。
 つまり船主と荷主は、契約時に、本船の運航コストやタンカー市況などの要素を考慮して運賃率をWSフラットレートの何%にするかだけ決めればよく、一定の地域内なら、その後に積地・揚地の変更があっても、1日あたりの運航損益がほぼ同一になる。WSフラットレートは、原油タンカーの臨機応変のオペレーションを可能にする世界共通の魔法の物差しというわけである。
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