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海運雑学ゼミナール
067 GMDSSの導入で使命を終えるモールス信号「SOS」
 これまでの国際的な海上遭難安全制度では、主として500キロヘルツの周波数を利用したモールス通信が使われていた。しかしこの方式には、特殊技能をもつ専門の通信士が必要であることや、昼間200マイル程度の範囲しか交信できないという欠点があった。
 この二つの欠点を克服した全世界的な海上遭難安全制度が、GMDSS(Global Maritime Distress and Safety System)。従来、モールス通信で行われていた遭難・安全通信の自動化を図るもので、1992年2月からスタートした。
 この制度を支えるのは、衛星通信装置、中波・短波・超短波の電話やテレックス送・受信機、遭難通報を自動送信する非常用位置指示無線標識(EPIRB)、ナブテックス受信装置などを組み合わせた複合的なシステム。
 これにより遭難信号の送・受信の自動化や無線電話による情報交換が簡単にできるようになる上、衛星通信の利用で交信範囲が大幅に広がることもあって、万一の際には、陸上主導の広範囲な救助体制がとれるようになった。
 1912年4月、客船タイタニック号によって初めて使用された「SOS」のモールス信号も、この制度が完成実施された1999年2月でついにその使命を終えた、と思えば一抹のさびしさは残る。しかし、これによって今後の海上安全・人命救助のシステムが飛躍的に改善されることを考えれば、この新制度の導入、海運界にとってまさにエポックメーキングな出来事といえるだろう。
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