日本船主協会

トップページ海運雑学ゼミナール

海運雑学ゼミナール
072 海を越えて自動車工場を運ぶスーパー引っ越しプロジェクト
 日本の自動車メーカーのほとんどが、今、海外で現地生産を行っている。 それに伴って、自動車を部品の状態で輸出するノックダウン(KD)貨物の増大や、現地生産された自動車の逆輸入など、自動車関連の輸送ニーズにも大きな変化が起こっている。そんな動きの中で生まれたもうひとつの輸送ニーズがある。現地生産のための工場設備一式を、日本からそっくり海外へ運ぶという壮大な海上輸送プロジェクトだ。
 自動車工場の生産設備といえば、ほとんどがコンテナのサイズに収まらない長尺の重量貨物、しかもロボットなど精密機器が大きな比重を占める。破損しても代替品はすぐには調達できず、一つの輸送事故もプロジェクト全体に大きく影響する。
 各貨物のスペックを計算に入れた慎重な積み付け計画に始まり、輸送終了まで2年あまり。しかもトラックやトレーラーによる陸上輸送から海上輸送へ、さらに現地での陸上輸送へとつないでいく海陸複合輸送だ。海上輸送には在来型の貨物船や重量物船が用いられるが、米国東部へ運ぶ場合、陸と海を合わせた総輸送距離は地球を十数周するのに匹敵するという。
 船だから可能な、このスーパー引っ越しプロジェクトは国際分業の進展とともにさらに重要度を増していく海上輸送分野のひとつといえよう。
前のページへ海運雑学ゼミナールタイトル一覧へ次のページへ