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海運雑学ゼミナール
073 海運の歴史にみる船とネズミとネコの関係
 岸壁に停泊した貨物船の係留索(もやい綱)の船側の部分をよくみると、金属でできた円盤のようなものが取り付けられているのがわかる。これはラットガード(ネズミよけ)と呼ばれるもので、ロープを伝って船内にネズミが侵入するのを防ぐためのものだ。
 船内の食料ばかりか積荷までも食い荒すネズミは、船にとっては大敵で、ラットガードを取り付けても、なお侵入してくるネズミを退治するために、かつては世界のほとんどの国の船がネコを乗船させていたといわれる。
 例えば、英国の古い海上保険法では、ネコを乗せていなかった貨物船は、ネズミによる被害を故意に防ごうとしなかったという理由で、貨物の損害への保険金支払いを認められなかった。また遭難船が発見されたとき、船内にネコが一匹でも残っていたら、その船は難破したのではなく遺棄船として扱われることさえあったという。船内でのネズミ退治に活躍するネコの役割は、それほど重要なものと見なされていたわけである。
 こうした習慣は、世界中にネコが広まる上でも大きな役割を果たしたようで、 遣唐使船などに乗って日本に渡ってきた中国産のネコも多かったらしい。ソファーの上で退屈そうにアクビしているあなたの家のネコも、かつて世界の海を股にかけて活躍した勇敢な船乗りネコたちの子孫かもしれないのである。
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