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海運雑学ゼミナール
078 石炭は、見かけによらず手ごわい貨物
 見かけはただの石ころのようにみえる石炭も、海上輸送中の自然発熱や発火、メタンガスの発生など、貨物としては意外に危険な要素が多い。このため輸送には、常に万全の注意が払われている。まず石炭が自然発火したかどうかの目安になるのが、温度と一酸化炭素濃度。温度については、55℃になると自然発火の危険があり、要注意となる。さらに一酸化炭素濃度が0.01%を超えれば自然発火の可能性があり、0.02%を超えると発火は確実だと判断できる。
 メタンの発生しやすい品種では、輸送中の十分な換気が安全対策上重要になる。また石炭に含まれている硫黄分が、船倉のビルジ(貨物等から浸み出すなどして船倉底部にたまった水)のなかに溶けだすと、ホールドの内壁や骨材を腐食させる原因になるため、ペーハー測定も安全対策上重要だ。
 石炭は、LNG、原子力といった石油代替エネルギーの花形と比べ地味な存在だが、日本のエネルギー供給の20%近くを支える重要なエネルギー源。
 確認埋蔵量(1999年)によると、石油が、現在の需要のままでいけば、あと40年程度で枯渇するとみられるのに対し、石炭は220年にわたって利用可能で、石油代替エネルギーとしての魅力は大きく、輸入量は増加の一途をたどっている。また鉄鋼生産に欠かせない重要な工業原料でもある。
  わが国にとって貴重な資源である石炭を、広大な海を越え、万全の注意を払って、安全確実に、しかも低コストで運ぶ日本海運。今後、ますます増大するとみられる輸送ニーズを支え、その活躍はこれからもさらに続いていくはずだ。
石炭専用船
(電力炭輸送に活躍する石炭専用船)
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