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海運雑学ゼミナール
082 大砲の着弾距離で決められた「領海3海里」
 国家が自国の主権のおよぶ範囲として排他的に支配できる海域が領海だが、こうした概念が生まれたのは18世紀半ば以降のことで比較的新しい。その出発点となったのはオランダのバイシケルスフーク(Bynkershoek)とイタリアのアズニ(Azuni)が提案した、当時の大砲の着弾距離の範囲を領海とする「領海3海里」説だった。
 この提案は多くの国々に認められ、長い間、一種の国際的慣習として守られてきた。しかし、もともと国際会議で正式に決定されたわけではなく、拘束力は弱い。やがて4海里、6海里、12海里、さらには200海里を主張する国が次々に現れた。さまざまな議論の末、現在では、国連海洋法条約によって最大限12海里と規定されるに至っている。
 しかし、その一方で漁業や地下資源開発などの経済活動を排他的に行う権利を認める200海里の排他的経済水域や、さらにその外側にまで延びる大陸棚での海底天然資源の主権的開発権利も同条約のなかでは認められている。
 「海洋自由」の思想のもとに人類共通の財産と考えられてきた海も、各国の漁業や天然資源に関する経済的思惑が絡んで、次第に自由の範囲が狭められていくようだ。
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