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海運雑学ゼミナール
088 磁気コンパスのルーツは「魚」だった?
 磁石の指極性によって方向を知る磁気コンパスの原理を発見したのは、約2000年前の中国人。しかし最初の頃は、現在のような軸針で磁針を支持するピボット式のものは出現せず、磁針を糸でぶら下げたり、指の上に乗せたりと、さまざまなやり方で使用されていた。その中で代表的だったのが木片の中に磁針を埋め込んで水に浮かべる方式だった。
 しかし当時の人々は、ただの木片では面白くないと思ったのか、これを魚の形に仕上げ、その腹に磁石をはめ込み、「指南魚」と呼んでいた。文字通り「南を指す魚」で、これは「人を教え導く」という意味の「指南」という言葉の語源でもある。
 この磁気コンパスが、イスラム商人たちによって欧州に伝わったのは、14世紀の初頭。この頃にはピボット式のコンパスも開発され、やがて15世紀末から始まった大航海時代を支える重要技術となる。しかし19世紀に入ると鉄船が出現し、磁気コンパスは、そのままでは役に立たなくなってしまった。鉄で囲まれた船内では、誤差修正を行わなければ、コンパスは正確に南北を指してくれないからだ。
 そこで登場したのが、ジャイロコンパス。高速で回転するコマの回転軸の傾きから方位を知るもので、フランスの物理学者フーコーが発見し、現在、世界中の船や飛行機に使われている。ただし船の場合、磁気コンパスは現在でも法定備品として必ず備え付けられている。
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