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海運雑学ゼミナール
091 外航客船:「クルーズ」の語源は、海賊船の「ジグザグ航行」
 最近「クルーズ」という言葉が、日本人の間でも身近なものになってきた。この場合、「観光を目的とする客船による航海」といった意味で使われているわけだが、そのもともとの意味となると、だいぶニュアンスが異なる。
 語源は、ラテン語のcrux(十字架)にあるというのが定説で、これには「横切る」という意味もある。そこから派生したkruisenという言葉が、16世紀頃のオランダの海賊たちの間で使われた。その意味は「獲物を求めて海上を行ったり来たりするジグザグ航海」というもので、これが17世紀になって英国でも使われるようになり、cruiseという言葉に変化した。
 しかし、現代でも海軍用語でcruiserといえば巡洋艦を意味しているように、最初のうちは、主に敵船をさがして軍艦が海洋をジグザグ航海する意味に使われていた。
 やがて蒸気船が登場し、船による旅が、一般大衆にもポピュラーなものになり始めると、「特に航海日程を定めないレジャー目的の気ままな船旅」といった意味にも使われだし、やがて、定期船以外の客船による航海一般をクルーズと呼ぶようになった。
 現代のクルーズは、ある目的地へ行くための交通手段というより、快適で自由な船上生活そのものを楽しむ新しいレジャーとしての側面が強い。一応日程も組まれているし、目的地もあらかじめ定まっている点が、昔の海賊船の略奪航海とはだいぶ違うが、クルーズという言葉は、そんな現代の船旅の特徴を表現するには最適な言葉だ。
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